目標は「ふつうにおいしいもの」
高名な某ブーランジェリーのライ麦パンは、個人的には酸っぱさが強すぎてちょっと苦手に感じ、ライ麦パンそのものを敬遠がちだったのですが、CORBのライ麦パンのおいしさは見事にすべての先入観を打ち砕いてくれました。驚くばかりのもちもち感! 噛みしめるごとに、穀物本来の味わいが豊かに湧いてきます。よけいなものは何ひとつないのに、なんて深い奥行きのある味わいなのでしょう。それは初めて真においしいお米を食べたときの「お米ってこんな味がするのだ」という発見、そして「おかずはいらないから白いごはんだけ食べたい」とさえ思った感動と同じでした。
「噛むって、なんて楽しいんだろう」
そんな新鮮な発見を与えてくれたCORBのライ麦パンですが、本当にさりげなく、肩肘はらない感じで白い棚にちんまりとおさまっていました。
「日常の中に、ふつうにあるカフェでいたいと思います。ふつうのものを、ふつうにおいしく食べていただけたら嬉しいですね」という中山さんの姿勢はお店のすみずみに表れているように思えます。今、ふつうに真っ当なおいしさを実現するには、食べ物に対するしっかりしたまなざしが必要なのですよね。