耳がしっかりおいしいパン
「パンの耳を食べてほしくて、パンを焼いています」と中山さん。そう、パンのおいしい要素は耳に集約されているのですよね。本当においしいパンなら、耳がいちばん香ばしくて魅力的だといつも感じています。
中山さんは出身地の北海道のベーカリーショップでパンやお菓子作りを学んだ後、チェコやボスニア、モロッコなどを旅して回り、パリのブーランジェリー「グルニエ・ア・パン」で2年間働きました。「それらのお店では、お店のレシピ通りに作らなければなりませんから、自分が好きなパンを好きなように焼くことのできるお店を持ちたいと思ったのです」
CORBのパンや焼き菓子はすべて天然酵母を発酵させ、ベーキングパウダーなどの添加物を使わずに焼き上げています。入り口すぐの白い棚にセンス良く並んでいるパンや無農薬栽培のスパイスに混じって、「その他原材料などのご説明もいたします。どうぞお尋ねください」と書かれた紙を貼った小さなガラス瓶がありました。
身体にやさしい素材でパン作りをするようになったきっかけは、中学生のときに突然あらわれたアトピーだったといいます。19歳の頃にそれまで自分が食べていたものを見直し、身体に負担をかけない食べ物に絞っていく過程で、天然酵母のパンをみずから作るようになったそう。
「天然酵母パンは酵母の発酵がもとになってできるものですから、自分が作っているのだけれど、本当は自然の力が作ってくれている。そんなことを実感できるのがいいですね。 酵母さえちゃんと発酵してくれれば、ほったらかしでもいいところが自分の性格に合っていると思います(笑)」