お客さまの中には、「このカフェのごはんなら安心して食べられる」と毎日のように通ってくる糖尿病の人もいるとか。馬場さんを支えているのは、そういったお客さま一人ひとりの声なのです。
新聞や福祉ベンチャーパートナーズのWebサイトにカフェが取り上げられたのを契機に、馬場さんのもとには、働いて自立したいと願う人々やそのご家族からの相談が数多く寄せられるようになりました。カフェは今後、精神障がいの人々の自立支援情報の拠点としても役割をひろげていくことになりそうです。
利潤を最優先するプロの目からは、野菜カフェにんじんのチャレンジはもしかしたら不器用なものに見えるのかもしれません。でも、この小さなカフェが果敢に目指しているのは数字ではとうてい計ることができないもの。馬場さんの手さぐりの歩みは、すでにたくさんの人々の心に希望をもたらし始めています。 いま、街に希望を提供できるお店がどれだけ存在しているでしょう。 カフェは小さな個人の真摯でひたむきな考えを試行錯誤しながら実現していくための場所でもあるのだと、あらためて教えていただいた一日でした。