■フレンチ+モロッコの奥深い魅力
モロッコに対する私たちの一般的なイメージは、おそらく映画『カサブランカ』によるものでしょう。個人的には、放浪の作家ポール・ボウルズが愛し骨を埋めた国として思い入れのある場所ですが、ヨーロッパの人々にとって、モロッコは異国情緒を楽しめる身近な観光地として古くからポピュラーな存在。かつてモロッコがフランスの植民地だった時代もあり、パリにはモロッコ料理店が数多く存在します。
赤い長椅子が並ぶカハワの1階は、パリの裏町のカフェそのもの。奥まった小部屋にはモロッコのランプとアラビア語のポスター。偽階段の裏には一人で本をひろげるのに最適の読書席。
そんなモロカンフレンチの魅力に惹かれてカハワを訪れるのは、もっぱらこの界隈で働く人々や住民たち、そしてオーナーの友人である欧米人たち。特に夜はさまざまな人種が自由にくつろぐ光景が見られ、一種独特の心地よい無国籍地帯に変貌しています。