ブドウ品種が織りなすハーモニー
シャンパーニュなど寒冷地のシャルドネは、レモンを思わせるような爽快感が風味に加わる。単体だとシャープでクリアな味わいだが、コクやふくらみに欠けるきらいがある。一般的にスパークリングにコクを加えるには酵母の澱と一緒に熟成させる。だが酵母のもたらすパンのような風味は、クリアな風味を曇らせるという面もある。
そこでコノスルは、赤いベリーの風味やスモーキーさがあるピノ・ノワールとライムのような爽やかさのあるリースリングを少量加え、3品種の風味を重ねて味わい深さを出した。ベースとなる白ワインを発酵させて泡を加える二次発酵には、澱との接触が少なくフレッシュなアロマの生きるシャルマ方式(密閉タンクで澱とともに熟成させる)を選んだ。残糖分はリットル当たり10グラム。甘味を感じさせず、酸味やフルーティーさが際立つ『ブリュット』だ。
見えてくるのは、シャルドネの切れ味をベースに、他の品種の持ち味や酵母の風味を隠し味に効かせるという発想。結果としてレモンをまるごと絞ったような鮮烈な風味にさりげない深みが添えられたのである。