旨いピノ・ノワールは南に

ピノ・ノワール、そしてスパークリングワイン。どちらも現在、大人気である。はるか南の地でフレッシュなピノ、赤そしてスパークリングが造られていると言ったら「そんなはずは無いはず!」と思われるだろうか?

おおむね暑い気候のオーストラリア。そのいちばん南極寄りにあるのが、タスマニアである。南緯41~43度辺りだから、北半球なら青森から札幌ぐらいの緯度だ。季節は逆だし雨量も違うが、タスマニアが涼しい位置にあるという事はお分かりだろう。

タスマニア州の州都ホバートは、一辺が300キロメートルの逆三角形をしたタスマニア島の右下にある。ホバート郊外のワイン生産地域のひとつ、ダーウェント地区にあるのがここで紹介するステファノ・ルビアナである

タスマニアには100以上のワイナリーがあるが、大半は小規模な家族経営である。ステファノ・ルビアナも、5代目の醸造家スティーヴ・ルビアナと彼の家族が運営している。

フレッシュなスパークリング

赤地に金色の鮮やかな色合いが斬新なラベル
赤地に金色の鮮やかな色合いが斬新なラベル

『スパークリングワイン・ブリュット』ノンヴィンテージ。果皮の黒いピノ・ノワールの果汁だけではなく、白ブドウのシャルドネを5%加えてピノの風味を引き立てている。近年3つの異なるヴィンテージのベースワインをブレンドし、フランスのシャンパーニュと同様の伝統製法に従い、18ヶ月の二次発酵で泡を得る。

寒い気候のシャンパーニュの力強い酸味と比較すると、新世界のスパークリングワインはしばしば酸味が物足りなく思えるものだ。しかしこのワインは、熟しすぎないブドウのコクにバランスの良い、スッキリした酸味がある。それだけではない。時間が経つにつれてじわじわと、ナッツのような風味が増す。オーストラリアのスパークリングの中でも傑出した味わいである。

このスパークリングなら、食前に一杯というだけでなくフレッシュな風味の料理や肴と一緒にゆっくりと楽しめる。タスマニア産のソバ粉を練って作る「ソバがき」をつゆに浸して食べながら、彼の地のスパークリングというのもいいだろう。涼しい土地の清々しい風味をたたえたソバとブドウが、きっと合うはずだ。他にもあっさり目の料理や食材なら、この「泡」で問題なく合わせられる。

いっぽう、やや味の濃いものには同じ生産者でも赤を合わせたい。ピノ・ノワールは果皮の色が濃いブドウだから、粒ごと醸せば色と渋みそして香りが抽出されて赤ワインになるのである。

『プリマヴェーラ』と題された赤を飲む>>