ラーメン/東京のラーメン

目黒で50年続いているラーメン店。 田丸(東京・目黒)

目黒は権之助坂に半世紀以上も愛されている店がある。それが「田丸」。チャーシューメンを頼むと洋食器のような器に出てくるのでビックリ。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

私が目黒で働くことになってから22年。今でこそ、ラーメン激戦区などと紹介されることもあるようにラーメン店は随分増えた。しかし、当時、目黒界隈にラーメン店はほとんどなかった。「田丸」くらいしか無かったのである。だから仕事帰りによく食べた。一時期、学芸大学に移転したが、そっちでも食べた。嬉しいことにまた目黒に戻ってきて、随分と世話になっている。

そんな懐古趣味を話すつもりで「田丸」を取り上げたわけではない。創業60年近く経つこの店は、新店に押されて、それほどマスコミには紹介されなくなった。しかし、実は平日でも行列ができることのある人気店なのである。

■田丸の「チャーシューメン」■


人気メニューはチャーシューメン。洋食器のような変わった丼で出てくるので、かつてマスコミでよく紹介されたのがこのメニュー。日本全国のラーメンを食べ歩いた私だが、この丼は極めて珍しい。ただし、珍しいだけで店は60年も続かない。リピートする魅力があるからこそ、継続するのである。

とろけるような柔らかいチャーシューが一つのトレンドとなって久しい。しかしここでは、そうした時代に迎合することなく、しっかり噛み締めることができるチャーシューを使う。これこそが「田丸」の真骨頂。ただし、たまーに固すぎることもあるのでその時はご容赦を。
 
器の関係からか、スープも少なめ。もう一つの店の特徴である茹でキャベツもたっぷり。「ラーメンを食いに来たのになんかイメージ違うな?」と思う人もいるかもしれない。でもこれぞ「田丸」なのだ。
 
ここにはラーメンの常識を覆すもう一つの特徴がある。ラーメンやチャーシューメンにタレを入れないのだ。ホーロー鍋(そういやここには寸胴もない)に入ったダシに醤油ダレがすでに入っているのである。ただし、大盛りやワンタンメンはスープが薄くなるから、とタレを丼に追加する。いやはやなんともユニークな店である。
 
最後に。私はここで4-5回に一回は普通のラーメンを注文する。これだって、決して新店に負けてない、おいしいラーメンなのである。

【DATA】らーめん 田丸 住所: 目黒区下目黒1-5-20  TEL: 03-3493-3978 営業時間: 11:30-21:00  休日: 月曜 メニュー: ラーメン550 チャーシューメン750 チャーシューワンタンメン850
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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