人参ピューレ、あめ色の巨峰、あぶりブドウ葉がポイント。
また、おいしかったのが、「うずらとフォアグラのファルシー」。これは、うずらの胸肉の中にフォアグラを詰め、仕上げにハチミツ、コリアンダー、キャトルエピスを加え、軽く焼き上げたメイン。
鮮やかな色合いの人参ピューレや、あめ色になった小玉葱のような巨峰、食べられなくとも軽くあぶって香りを引き出したブドウの葉は、味わう前からこのお皿に、ぐぐぐっと心を引き付けられるポイントです。
私の胃袋には、これだけは少々量が少なめかなと思いましたが、その分、感じられるのは、香りとコクの贅沢感。甘く濃厚なフォアグラが加わるだけで、急にその味わいは、重厚感を広げるものです。
ミンチにしてパン粉で焼き上げたウズラのモモも、小さくても「これは、何?」という存在感のあるアクセントになっていました。
隠されていない隠し味が効いた、マグロとナスの前菜。
また、もうひとつ心惹かれたのが、「マグロとナスのミルフィーユ」。これは、それぞれ味をつけたマグロとナスを層にして、間にレモンのコンフィとドライトマトを挟んだ前菜。
美しいのはもちろんですが、バルサミコの酸味がよく生きていて、かなりおいしい。添えてあるクリームマスタードは、隠されていない隠し味といった感じで、時折、このお料理に活を入れる存在です。
芝、汐留、銀座の「タテル ヨシノ」3店の共通メニュー。
また、今回のアミューズは、以前、「レストラン タテル ヨシノ 汐留」でもいただいた「グージェール」。これは、芝、汐留、銀座の「タテル ヨシノ」3店の共通メニューである、チーズシュー。このたぐいは、どこで食べてもいつもおいしいので、想像通りとお伝えしておきましょう。
つかんだらパリンと割れそうな1ミリタルトレット。
そして、もうひとつは「野菜のタルトレット」。カリフラワーのピューレとトマトのコンフィの上に、小さく切った野菜をのせたタルトです。
食事の始まりなので、できるだけお腹にたまらない軽い食感のものという発想から出来上がったアミューズだそうですが、生地の薄さにはビックリ。2ミリ? いや、ギリギリ1ミリかもです。
あまりに薄いので、手の大きい男性がつまんだら、そのままパリンと割れちゃいそう。なので、つまらない質問とは思いつつも、「作る過程でどのくらい割れますか?」と聞いたところ、答えは意外。60人分焼き上げても、4~5個程度だそう。
割れて大変という苦労話を盛り込もうと思っていたのに、見事、当てが外れました。やはり、つまらない質問は、つまらないまま。私らしい、しめくくりです。
気を取り直して。