土日は着物の人も多い「ニホンバシ イチノイチノイチ」。
日本橋に一番近いテラス席。 |
桐タンスの引出しもレンタルできる「きものサポートクラブKIRI(きり)」が話題の昨今。土日ともなると、銀座のみならず、日本橋でも、道行く人の着物率がグッと高まっています。
その余波を受けるように、着物のカップルが急に増えたという、「ニホンバシ イチノイチノイチ」のテラス席。中には、着物ひと筋50年風なご婦人の姿もあり、多い日は「今日って、おまつりだっけ?」とスタッフが噂し合うほど。
そう、ここは、日本橋川のほとり。国指定重要文化財でもある「日本橋」を眺めるダイニングです。
日本橋は、空のきれいな街。
店内席。左の壁には、半個室が並んでいます。 |
店名の由来は、日本橋1丁目1番1号。東海道、中山道、日光道中、奥州道中、甲州道中が集まる、五街道の基点となる場所です。
店内は、手前がバースペース、その向こうが半個室付きのダイニング。そして一番奥が、川沿いのテラス席。川の匂いが全く気にならないかと言えば、それは嘘になりますが、その分、空がきれいです。
と言うのも、「中央通りは、ガス灯通りとも呼ばれ、銀座から日本橋までは電信柱がない。都内の中でも、夜が美しい街とも言えるのです」。なので、ここでは、日没が近づくと、たいまつが焚かれ、テーブルにはキャンドルが灯されます。無駄な明かりを極力落とすことで、空がよく見えるように配慮しているのですよね。
頑固、でも柔軟な街のあり方。
目下の趣味は川釣りという、ゼネラルマネージャーの渡邉雪蔵さん。 |
そんな話をしてくれたのは、ゼネラルマネージャーの渡邉雪蔵(わたなべせつぞう)さん。「お名前、雪の蔵と書くのですね」と言ってみたところ、「山登りが好きな父だったんです。冬山にもよく登っていたもので」。なるほど。
そんな渡邉さんに、「日本橋はどんな街だと思いますか?」と聞いたところ、「頑固に見えるけれど、若いお店を柔軟に受け入れてくれる街」。
「僕は門前仲町で育ったので、子供の頃、デパートや映画に連れて来てもらうのは、いつも銀座か日本橋。銀座なら洋食、日本橋ならそばを食べるのが、最高のエンタテインメントでした。それが最近、銀座は銀座らしい敷居がなくなり、日本橋はただのビジネス街になりつつある。だからこそ、街全体が今、いろんなものを取り入れて、もう一度、熟成していこうとしている」。
温かく厳しい江戸っ子の心遣い。
輪島の最高級天然塩でいただく「産直野菜の炭火焼き」。すり鉢で炒った鰹節をふりかけたマヨネーズもおいしい! |
そう思ったきっかけは、日本橋で頑張ってるおっちゃんパワー。「日本酒は、こーだろー」「その料理は、そーじゃねーだろー」と、江戸っ子らしい、よけいな遠慮のない口ぶりで、厳しいご指摘をいただくこともあるそう。
「でも、そういう人ほど、ちゃんと翌週にも来てくれたりする。お店のために言ってくれてるのが、よくわかります。ただ、日本橋の人は待ってはくれない。言って、変化がなければ許してはくれない厳しさもあります」。
人気は「産直野菜の炭火焼き」と「雲丹のグラタン」!
ホクホク&クリーミーな「雲丹のグラタン」。ストレートに雲丹の味と香りを感じます。 |
そんな日本橋の人々に見守られながら、2008年6月25日のOPENから早2ケ月。現在の人気メニューは、「産直野菜の炭火焼き(1,200円)」と「雲丹のグラタン(1,250円)」。
グラタンは和食店らしく土鍋で出てくるのですが、ふたを開けたとたん、ふっくら焼けた卵焼きのようないい匂い。あえてふたをした意味が、よくわかります。そして中央に飾られるのは、リング状の雲丹。
と聞けば、これだけでも贅沢なのですが、実は、雲丹はこれだけじゃない。中のホワイトソースにも、裏ごしした雲丹がたっぷり混ぜられているのです。そこに、ジャガイモのほくほく感が加わる。シンプルだけど、これからの季節、芯から温まりそうなひと品です。
<店舗データ>
■ニホンバシ イチノイチノイチ
所在地:中央区日本橋1-1-1 国分ビルディング1F
TEL:03-3516-3111
営業時間
ランチ :11:30~14:00(LO)
ディナー
月~土 :17:00~22:30(LO)
日・祝 :17:00~21:00(LO)
バータイム
月~土 :16:00~22:30(LO)
日・祝 :16:00~21:00(LO)
定休日 :不定休
喫煙可
都営浅草線・銀座線・東西線日本橋駅B11出口より徒歩約1分
地図:Yahoo!地図情報
次ページでは、2008年7月リニューアルの「ロティ」をご紹介します!