おいしいものが出てくる確信と予感に満ちた「ダ・ペッピーノ」。
その期待は、店内に入って、ゴロゴロと並ぶビタミンカラーの野菜や無造作に置かれたワインの箱を目にすると、ワクワク感が増していきます。それは、「きっとおいしいものが出てくるに違いない」という確信めいた予感。
それを最初に満足させてくれるのが、見るからにおいしそうな名前が並ぶメニュー選び。イベリコハム、からすみ、手長海老、ムール貝、生ウニなど、食欲をそそる素材が目白押しです。
カウンターに盛られた無骨だけど美味しい有機栽培野菜。 | 店内の一番奥にある壁際の席。 |
この日、入っていた野菜は、トマト、ズッキーニ、プッチーニ、ブロッコリーニ、パプリカ、とうもろこし、いんげん、ブロッコリ、カボチャ、ラディッキオ、玉ネギ、プチトマト、金時人参の葉など。運ばれてきたとたん、目に飛び込む鮮やかな色彩と、焼けたニンニクの香ばしい匂いで、空腹感に拍車がかかります。
でも、熱々なので、あくまで味わいはゆっくりと。ちょうどいい塩加減に、オリーブオイルとニンニクの風味が加わり、どの野菜もとても美味しいです。しかも、歯ざわりも期待通り。いろんな野菜を一度に焼いているわりには、どれも硬過ぎずやわらか過ぎず。葉物から出る水分が全体をうまく蒸し上げ、ベストな状態を保っているようです。
ニンニクの香りでコーティングされた極上スパゲティー。
イカは皮と身の間にうま味があるので、あえて皮をむいていないそうですが、火の通し方が絶妙でとてもやわらか。程よく残った臭味も、カラスミの独特の風味とねっとり相まって、フォークを置くのを忘れてしまう美味しさです。これは、林シェフいわく、「ニンニクの香りでスパゲティーをコーティングする」だそう。また、スパゲティーの間から見え隠れする大き目のブロッコリーや枝豆も、コリコリ感がとてもいいアクセント。
かわいいカップが並んだ窓際。 | ダイニングからライブで見える快活なキッチン。 |
また、これからもずっと続けていきたいのは、料理全体に関連性をもたせることだそう。食材同士の味の相性や食感を考え、それらをうまくつなぎ合わせ、プラモデルみたいに完成形の一皿にしたいとのこと。修行先のトリノとトスカーナで学んだことを存分に生かせる場所が、今シェフにとってはここ「ダ・ペッピーノ」なのです。
ベリーの枝を添えたヴァローナ社のチョコレートフォンダン。
添えられているのは、6時間もシロップで漬け込み、一晩かかってじっくり乾燥させた自家製リンゴのチップとミルクアイス、たくさんのベリー類。イメージは、「実がなっている枝」だそう。ひとくちすくうと、ベリーの酸味と間に落とされたジャムの甘みがひとつになり、とても美味しいです。ミルクアイスの下の砕かれたビスコッティもそうですが、ただ素材をきれいに並べるだけでなく、細やかな味への気配りがあるのは、とても素敵なところ。
窓際に列を成す店内席。 | 入口近くの席。 |
今回、これらのメニューをいただいたのは、ランチとディナーの間のアイドルタイム。スタッフのまかないの時間でもあります。慌しかった店内にふっとゆとりが生まれ、流れてくるのはサザンのバラード。でも、そんなわずかな憩いさえ急かすように、もう外にはディナーメニューをのぞく人がちらほら。それでも、私たちの期待に応えたいと、現在、ティータイムの営業も検討中だそう。忙しさは人気店ならではの宿命ですが、それを跳ねのけるほど、店内にはいつも元気なエネルギーと気さくな賑わいが宿っています。
入口に飾られた杉本彩さんから贈られたお花。 |
■ダ・ペッピーノ
営業時間
ランチ 11:00~15:00(LO)
ディナー 17:30~22:00(LO)
電話 03-5524-5033
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