撮影のからくりを見抜く一番手近なヒント!
2007年1月~3月放送のドラマの撮影で特に目についたのが、入口と店内が別のお店というフェイントパターン。例えば、『華麗なる一族』。万俵家が毎年お正月を過ごすホテルとして使われたのは「志摩観光ホテル」でしたが、撮影は外観と景色のみ。ホテル内での木村拓哉さんや長谷川京子さんのシーンは、なんと横浜の老舗ホテル「HOTEL NEW GRAND」でした。
また、『拝啓、父上様』で、梅宮辰夫さんが二宮和也さんを連れて行った「中条」として入口が使われたのが「神楽坂 しなり」。店内の個室のお座敷でおかみの加賀まり子さんとおふたりが話す場面は「天ぷら 天考」でした。
また、『会いたかった~向井亜紀・代理母出産という選択~』で、松下由樹さんと沢村一樹さんが最初の代理母になる夫妻と会うネバタ州の施設・RENOとして外観が使われたのは、「ホテル大箱根」。なので、おふたりが車で帰る代理母夫妻を見送る場面もここの正面玄関を使っていましたが、実際会っている間のレストラン場面は、実は武蔵小金井の「レストラン TERAKOYA」でした。
このように、ドラマの中では登場人物が入ったお店の入口は、いざドアを開ければ『ナルニア国物語』のクロゼットのように、全然別の場所へとつながっていたりするのです。
また、これと似たパターンで、実在する建物の入口がスタジオセットにつながっている場合もあります。
これも、『華麗なる一族』。万俵邸として外観やお庭が撮影されたのは、静岡の「日本平ホテル」でしたが、ゴージャスな邸内はセット。
また、『ハケンの品格』で、篠原涼子さんがフラメンコを踊るシーンでよく使われた「cafe cantante」は、外観は池之端にある「両山堂印刷所」の倉庫でしたが、店内はやはりセットのよう。
『今週、妻が浮気します』で、「文豪BAR 鴎外」として、ユースケ・サンタマリアさんや沢村一樹さん、ともさかりえさんなどが飲むシーンで度々使われた神保町の「ミロンガ・ヌオーバ」も撮影は外観のみ。店内撮影は一度もないそうです。
こんなからくりを見抜く一番手近なヒントは、やはりお店のHP。トップページに映し出される写真がイメージと違うなと思ったら、まずは疑ってみることです。
撮影は絵になる席が多いので、お店の宣伝になるHPにも、おのずとその辺りの写真が使われることが多いもの。それが全然違うとなれば、別の場所であると考えるのがごく自然の流れです。この第六感、けっこうビンゴなことが多いです。
まあ、でも今回の『ハケンの品格』のように、ハケン弁当を売るお店として天王洲の「La Casa Niki」を使ったまではいいのですが、撮影を店内のテーブルとイスを全部取っ払って行っていると、ドラマの中とHPのお店の雰囲気が違うというケースも出てきてしまうのですが。まあ、それはまれな例として。
最後に、『今週、妻が浮気します』で、男性と一緒にチェックインした広田レオナさんの部屋に西村雅彦さんが乗り込むシーンで使われた「ホテル イースト21東京」では、ダブルとツインのお部屋を何パターンか用意して、何回も撮影を行ったそうですよ! なので、ほんの1分ほどのそのシーンは、たくさん撮った映像の中のたったひとつの1分。ドラマは、そのワンシーン、ワンシーンが勝負といったところですね。
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