アーペレーヌ東京　（表参道）(2ページ目)

優雅な空間と肩を並べるラグジュアリーシノワ。

食前酒アーペレーヌスタイル。

これだけ優雅な空間だとお料理はつい豪華なフレンチを想像しますが、ここは四川料理をベースにフレンチのテイストを加えたラグジュアリーなヌーベルシノワ。旬の食材を繊細に組み合わせ、洗練された一皿に仕上げています。

創り出すのは、四川料理の基礎を４年間みっちり学んだのち、西麻布「EPICER（エピセ）」の後藤シェフの下で修行した齋藤博人総料理長。

「古くて先を行くのが中華料理」という考え通り、古来から受け継がれた伝統的レシピを、ジャンルにとらわれない食材や調味料を取り入れることで独自の新しいスタイルを築いています。

美容の宝庫・アルガンオイルを使った香ばしさが魅力。

前菜らしい軽やかさを感じる「揚げ茄子と万願寺唐辛子のサラダ オニオン香辣ソース」。

そのひとつが前菜「揚げ茄子と万願寺唐辛子のサラダ オニオン香辣ソース」。

これは、素揚げした万願寺唐辛子と加茂茄子を、おろしオニオンや黒酢、レモンの絞り汁、山椒の実を油につけて香りを移した山椒油などから作った合わせ調味料に浸し、香りづけにアルガンオイルを入れたもの。

アルガンと言えば、美容の宝庫と言われるオイル。中華で使われるのは珍しいですが、カエルのコラーゲンや日本山人参なども駆使したアンチエイジングコースも考案する齋藤総料理長らしい選択です。

このアルガンオイルのヘーゼルナッツのような香ばしさは日本野菜との相性も良く、食材の持ち味を軽やかに表現。そこに、黒酢やレモン汁のゆき届いた酸味がうまく調和し、油イコール重いというイメージから開放する仕上がりになっていました。

極上のふわふわ感に言葉を失くす味わい豊かな逸品。

美味しさが卵の下にぎゅっと詰まった「ズワイ蟹の卵包みいため アーペレーヌスタイル」。

そして、「ズワイ蟹の卵包みいため アーペレーヌスタイル」。これは、ズワイ蟹を蒸かし卵と溶き合わせたもので、モッツァレラチーズを包んだもの。

ソースは飽きのこないお醤油とケチャップを合せたベースに、ステーキでよく使われるエーワンソースやトーキーなどをプラスしたもの。

口に入れた時、まず卵のふわふわ感に驚き、その後にじわっと出てくる蟹のうま味に絶句。卵で全体を覆ったことで、逃げ道をふさがれた美味しさが、ぎゅっと中に詰まっているのです。豊かな気持ちになれる逸品とはまさにこのこと。

見事な黄金色が目に食欲を宿す四川の看板メニュー。

中と外の食感の違いが味を引き立てる「カリカリとろとろ黒酢の酢豚」。

そしてメインは、「カリカリとろとろ黒酢の酢豚」。これは１時間もボイルしたバラ肉を高温で揚げ、スープをはって３時間も味を含ませたもの。

「カリッと揚げるのがセオリー」という齋藤総料理長の言葉通り、外のカリカリと中のとろとろの食感の違いが味の良さを引き立てていました。

抗酸化作用たっぷりの「四川担担麺」。

仕上げはここのスペシャリテ「四川担担麺」。これは、体内で強い抗酸化力を発揮するセサミンたっぷりの胡麻が摂取できる体にいいおそば。四川の看板メニューのひとつでもあります。

一見、麺は簡単そうなメニューに見えますが、火入れが強いとスープが黒くなり、弱いと白くなる調理の難しい一品。でも、ここは見事な黄金色。テーブルに置かれたとたん、目に食欲が宿るのを感じました。

数ある酸味をお料理ごとに使い分ける軽やか仕上げの達人。

地下ダイニングの奥はバーカウンター。

これら齋藤総料理長のお料理のこだわりは、食材と酸味。仕入れが４ケ月待ちになることもあるという貴重な金華豚を使うことや地場野菜の探求には余念がありません。

また、赤酢、黒酢、バルサミコなど数ある酸味を、お料理ごとに使い分け、中華特有の濃厚さを残しながら軽やかにアレンジする手腕にも長けています。そのため、どのお料理も後味はさっぱり。なので、デザートもワクワクした気分で心待ちにできるのです。

この日、２名でアラカルト４品とデザートを頼み、飲み物を入れて１人5,000円。この満ち足りた空間で、しかもディナーでこのお値段は、満足感もひとしお。お席をちょっと張り込んでみたくなるのも不思議じゃないですよね。

次ページでは、美しい舞花茶の競演とベーシックな味わいに魅力が光るシノワデザートをご紹介します！