『結婚できない男』に見る登場人物の個性を生かすレストラン。
前クールで、レストランが登場人物の個性を引き立てたと言えるドラマのひとつに挙げられるのが、阿部寛さん主演の『結婚できない男』。このドラマは主人公をはじめ、まわりの登場人物もみんな、同じレストランに何度も通う傾向がありました。
たとえば、阿部寛さん。飲むのは毎回同じお店のカウンター。しかも席まで同じ。また食事は「食采洋房 La Passage」の常連でした。しかも頼むのはいつもステーキ。肉食のわりに女性へのアプローチに乏しいというギャップがありました。
また、まわりの夏川結衣さん、国仲涼子さん、塚本高史さんもなぜかいつも行きつけばかり。一度だけ「ラフェ・クレール」でお茶をしたことがありましたが、みんなで集まって飲むのはたいてい「森のビアガーデン」。時々「キリストンカフェ東京」になることもありました。
その上、夏川結衣さんと国仲涼子さんに限っては、余暇を過ごすお店も同じ。たまには映画でも見に行ったらいいのにと思うほど、いつもいつもマンガ喫茶。
そう言ってしまうと、なんだかおもしろくない登場人物ばかりに思えてきますが、この同じお店に通うことがこのドラマで出てくる登場人物を魅力的にしていたと言っても過言ではありません。
ドラマの中のレストランは、登場人物の生活レベル、センス、仕事、交友関係をまるごと表現してしまう雄弁な大道具。
友達の少ない阿部寛さんを表現するには、ひとりごはんのための気の置けないお店が必要だし、お金のない国仲涼子さんのイメージに沿うなら、「A to Z cafe」「DexeeDiner」「cafe STUDIO」「CAFFE SOLARE」など、リーズナブルなカフェごはんくらいのお店でなければいけません。
『不信のとき』『けものみち』『黒皮の手帳』の米倉涼子さんのように、毎回違う高級レストランに行っていてはちぐはぐもいいとこ。あれは、強烈な役の個性がある米倉涼子さんならではですよね。
同じキャビンアテンダントものでも、たびたび合コンやお見合いが行われる観月ありささん主演の『CAとお呼びっ!』と、まだ訓練中の身である上戸彩さん主演の『アテンションプリーズ』では、使われるレストランにも雲泥の差があったのもいい例です。
なので、レストラン選びに迷った時、自分の生活スタイルと似通った登場人物を探すのはとてもいい方法。その人が行ったレストランなら、きっと雰囲気や価格的に行ってみたいと思う所が見つかることでしょう。
レストランもドラマの中では、役者のひとり。登場人物のイメージとピッタリ合った時、お互いを輝かせる太陽と月のような関係になるんですよね。きっとドラマを見ていて「あっ! あのレストラン行きたい」と思うのは、そんな時ですね。
それでは次ページからは、ドラマで使われたレストラン永久保存版! 過去ドラレストラン総まとめです!