誰よりもクールにロールしろ!
誰よりもかっこよくダイスを振る方法。それに気がついたのは、双六屋が初参戦した2002年のバックギャモン世界選手権でのことでした。バックギャモンプレイヤーなら、誰しもが憧れる最高の舞台。双六屋も例外なく喜びに胸をふるわせました。
なぜなら・・・ 世界中の強豪が集まるこの大会にこそ、世界一かっこよくダイスを振るプレイヤーがいるはずだからだ! そしてその振り方を盗んでやろう・・・と。
俺の野望は世界一のダイス振り
ギャモンの特徴は手振りではなく、カップを使ってダイスをロールすること。 |
いや、正直、初参戦したあのときに、そんな大それた野望とかってなかったですよ。オリンピックと同じで「参加することに意義がある」と、あの舞台に立てたことでもう満足しちゃっていたんですわ。
そりゃあ、ギャモンはダイスを使うゲームなので、運のファクターが小さくないですし、まかり間違って優勝を、なんてこと夢見ないわけではないですが、それは誰しもが宝くじを買って、これってもしかしたら一億円!? と夢想するのと同じで、現時点での自分の実力を冷静に考慮すると、やっぱり夢の夢ですよね。
というわけで「バックギャモンプレイヤーはかっこよくあるべし」という自分の哲学から、実力は伴ってないけど、せめてゲーム中の所作や、立ち振る舞いなどは洗練されてかっこよくありたい。
ほら、何かスポーツを始めるとき、まず道具は一流メーカーで揃えるって人いますけど、あれには大賛成の人間です。
イケてるダイス振りはどこのどいつ誰だ!?
ギャモン界のアクセルローズことジェリー・グランデル |
また所作の中でも、ダイスを振るという行為に注目しました。バックギャモンプレイヤーであれば、生涯に何万回、いや何十万回と行うもの。双六屋はこの振る舞いを極めたかったのです。
ギャモンの場合、ダイスは手振りではなく、ダイスカップと呼ばれるツボに入れて振り出します。ダイスを振るときは、ダイスカップの口を人差し指(もしくは中指を加えて)でしっかり抑えて、よくシェイクします。そしてその後、指を外して、ダイスをボードに傾けて、ダイスを振り出します。
まず僕が向かったのは、ジェリー・グランデル(Jerry Grandell)のテーブル。彼は1997年の世界チャンピオンであり、グランデルはチャンピオンになってから、その後の2年間は、世界のビックトーナメントを総ナメというくらい勝ちまくったギャモン界の怪物です。