巨匠が紡ぎ出す芸術的なゲーム

ヴェニスコネクション
ボードゲームにしては、小箱の部類に入る大きさ。それもそのはず、中身はタイルが入っているのみ。
『ヴェニス・コレクション』のすごさは、芸術的な美しさです。

タイトル:ヴェニスコネクション
原題:VENICE CONNECTION
プレイ人数:2人
プレイ時間:20分くらい


ここでいう「美しさ」とはコンポーネントに施されたグラフィックアートと、このゲームのシステム(ルール)の両方に掛かります。このゲームは、今は亡きボードゲーム界・最高のクリエイターの一人、アレックス・ランドルフの手によるものです。映画界に例えれば、キューブリックやコッポラ級の巨匠といっていいでしょう。


えもいわれぬコンポーネントの美しさ

美しいヴェニスコネクションのタイルル
モニターでは伝わりにくいのだが、この分厚いタイルの質感と、そこに施されたプリントがとにかく素晴しい。
さて、このゲームのコンポーネントは、たった16枚のタイルが入っているだけです。

画像にして、パソコンのモニターで見ると伝わりにくいのですが、実際のタイルは、上質な紙の質感と、そこに施されたプリントが絶妙なハーモニーを醸し出し、工芸品のような趣を醸し出しています。しかも彩色は黒と深緑のたった2色。しかしこれがとても美しいのです。

実際、このゲームは、ゲーム界のアカデミー賞ともいえる「ドイツ年間ゲーム大賞(1996)」において「美術賞」を受賞しています。


数学の証明のように美しいルール

美しいヴェニスコネクションのタイルル
描線画で描かれたヴェニスの町並みが非常に美しい。2色だけなのに不思議と彩色感がある。
このゲームは水路を繋ぎ合わせるゲームです。が、この16枚のタイルすべてが、表が「直線の水路」、裏が「90度曲がった水路」となっており、描かれた町の様子こそ違いますが、本質的にはすべて同じタイルになっています。

そして、二人対戦専用ゲームのこのヴェニス・コネクションでは、プレイヤーが自分のターンにすることといえば、タイルを1枚~3枚(枚数はチョイス)を既出の場のタイルに繋ぎ合わせるだけ・・・ 勝利条件は、先に水路を切れ目のない環状にして完成させたプレイヤーが勝ちというもの。

ルールはまるで数学の証明のようにムダがなく、数式のごとく美しいといったのはこのためです。


いくつかの必勝形があり、自分の番にその形になるように、敵にタイルを置かせるという攻防になってきます。ゲームを遊ぶたびに違った局面になり、毎回美しいヴェニスの並みが浮かび上がってくるはずです。


ランドルフは実際にヴェニスに暮らしていたことがあり、美しいヴェニスの情景を再現したくてこのゲームを作ったのかもしれません。


巨匠の手にかかれば小作品といえども抜群の切れ味

ヴェニスが完成する
ゲームをするたびに、プレイヤーは毎回異なる町並み(局面)を目にすることになる。
すべてのルールを説明したわけではありません、が、もうこれ以上削りようがないシンプルなコンポーネントと、シンプルなルールによって生みだされるプレイ感は、しかし囲碁や、リバーシにも似た思考を必要とされるアブストラクトゲームに仕上がっています。

このようにランドルフの作品は、小作品でも驚くほどシャープにまとまっており、以前ご紹介した「チャオチャオ」なども彼の作品です。

一般の方には、彼のゲームに出合う機会は少ないと思いますが、ゲームを見かけることがあれば、実際遊ばずとも、せめてそのグラフィックアートやコンポーネントの美しさだけでもじっくり愛でてほしい作品です。


本日のヴェニスな関連・参考サイト


Venice connection ランドルフがパートナーと興したゲームメーカー
Prodigal Gamer's Assembly hall ヴェニスコネクションの問題集が載っている


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