何故ヤツには勝てないのか!

もしあなたが一流のポーカープレイヤーと手合わせしたら、1度くらいなら運良く勝てるかもしれませんが、ロングレンジのゲームになれば勝つ見込みは限りなくゼロです。

「カードプレイヤーが相手の手を見抜く能力は、
記憶力よりも観察力による心理的テクニックの方が多い」
『面白いトランプゲーム』(松田道弘 ちくま書房)から

気がつけば、あなたのチップは1枚残らず巻き上げられていることでしょう。一流プレイヤーはあなたの表層にあらわれる、癖、態度、言動すべてを細大漏らさず観察しています。そしてそれら全てはあなたを分析するデータとなります。なかでも「目」というのは思いのほか外部に情報を発しているものです。

以前『二枚舌は勝利への必須条件』の記事ではウソを上手につくことで有利に戦えるゲームをご紹介しましたが今回はその逆に、「目」に注目することで相手の心理を読みとるテクニックをご紹介しましょう。

外部から情報を読み取る意外な方法

ベストセラー小説であり、映画化もされた『催眠』(松岡圭祐 小学館)では、ニセ催眠術師の実相寺の内面を、主人公である心理カウンセラーの嵯峨がまるで妖怪のサトリのように読みとってしまうシーンが出てきます。さてその方法の秘密とは…  多少のネタバレにもなってしまうので『催眠』を未読の方は、下段を読み飛ばして次ページへどうぞ

ここで一つ問題を出します。5秒で答えてください。あなたの昨日の夕飯は何でしたか?

さてここでの本当の狙いは記憶を辿ったときあなたの眼球はどこを向いていたかということです。おそらく多くの方が自分から見て左斜め上に動かしたことでしょう。記憶は脳の機能と密接に関係しているのでそれに引きずられて無意識に眼球が動いてしまうためです。

心を読み取られ、呆然としている実相寺に嵯峨は、その方法をこう説明します。「人が何かを思い出すとき、以前見たことがある情景なら左上に、また未体験のときは右上に眼球が向く。また左下なら聴覚的なイメージを、右下なら体感的なイメージを想起している」と。はたから見ればまるで魔法のような読心術も、実は相手との会話とその目の動きを大きな手がかりとして推察していたのです。