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勇者の時代から群像の時代へ

1人のプレイヤーが、用意された世界の中で唯一の主人公になるゲームから、新しいゲームへと時代が少しずつ流れています。多くのプレイヤーが主人公になる群像の時代へ。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

勇者になる為のツールであったゲーム

勇者リストラ? の図
プレイヤーが主人公にならないのであれば、いったい誰が主人公となるのでしょうか
今まで、多くのゲームの主人公は、プレイヤーでした。スーパーマリオブラザーズでも、ドラゴンクエストでも、プレイヤーが主人公であるロトの勇者や、マリオを操って悪者を倒し、お姫様を取り戻し、世界に平和をもたらす英雄でした。

ゲームは、世界の中で、自分だけが唯一の勇者や英雄のような主人公になって、そこで完結するものがほとんどでした。しかしそれは、数年単位の長い期間をかけてですが、徐々に変わっていくのではないかと、私は思っています。じゃあ、誰が主人公になるのでしょうか。プレイヤーではなく、プレイヤー達が主人公になる、こう考えています。少しややこしいですね、順を追って説明していきましょう。

勇者時代の構造

困難を乗り越えたマリオの図
多くのゲームの世界は、プレイヤーを主人公にするために全てが存在しました。クッパだって例外ではありません
多くのゲームは、プレイヤーが主人公となり、その他の要素はプレイヤーが主人公になる為に用意されています。逆に言えば、プレイヤーは開発者が作り上げた舞台の上で、主人公にしてもらっている状態です。

開発者は、世界を救ったり、お姫様を助けるといった、目標を設定したり、その目標を達成する過程がドラマチックになるように敵役などの困難を設けたり、さらにはその困難を解決する方法をプレイヤーに用意したります。そういった舞台で、プレイヤーは、例えばあたかも自らが世界を救うかのような英雄的体験をするわけです。

例えば、スーパーマリオブラザーズで言えば、ピーチ姫を助けに行くという目的があります。道を進むとクリボーやノコノコといった敵がでてきますが、その困難をジャンプアクションで解決して、最後はお姫様を救出するんですね。

もちろん、ゲームはお姫様を救うものばかりではありません。しかし、開発者がエンターテイメントを創造し、その用意された楽しさをユーザーが享受するという構造は、かなりのゲームにあてはまるのではないでしょうか。これが、今までのゲームに多かった構造です。

次は、開発者がエンターテイメントを用意し、ユーザーがその中で勇者になるという構造が、どう変わるのかをご説明したいと思います。
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