ソフト開発分野に強い平井一夫氏が新社長に
E3など海外のイベントでは、プレゼンをする姿がもうおなじみの平井氏です |
久夛良木氏がハード的な分野の人間であるとすると、平井氏はソフト分野よりの人だと言われています。1984年にシービーエス・ソニーレコードに入社、1995年にSCEAへと移ります。北米での初代Playstation発売が1995年9月9日ですから、北米でのPlaystation事業を立ち上げていったメンバーの1人であると言って差し支えないでしょう。その後1996年にはSCEA副社長に、1999年にはSCEAの社長に就任します。
SCEAでの平井氏は北米市場でのソフト開発会社との連携を強めて開発体制を強化するなど、ソフト事業部に力を注ぎました。基本的なプログラムを関連会社と共有し、効率よくゲーム開発ができるようにする仕組みづくりなどです。みなさんがご存知の所ではラチェット&クランクシリーズなどがそういったSCEAのソフト開発体制の中で作られ、全世界で発売されました。
また、PS3のロンチタイトルでも、平井氏の手腕が伺えます。ロンチタイトルというのは新しいゲームハードと同時に発売されるゲームソフトのことです。ロケットの発射だとか、ボートなどを水面に下すことを英語で、launchと言いまして、「立ち上げ」というような意味があるんですね。ですから、ゲームハード立ち上げの時に発売されるソフトを、ロンチタイトルというのです。PS3のロンチタイトルは日本が4本だったのに比べ、北米でのPS3ロンチタイトルはなんと13本。同じ発売日であるのにもかかわらず実に3倍強のロンチタイトルを集めているのです。SCEAを率いてソフト開発の体制を作り、北米で実績をあげてきた平井氏。彼がPlaystationの生みの親とも言える久多良木氏に代わり、今回SCEの社長となって全体の舵をとっていくわけです。
では、この社長交代が、SCEの今後の戦略にどういう影響があるのか、考えてみたいと思います。