超進化版バーチャルボーイ
3DSはゲーム機単体で、裸眼での3D体験を可能にする。オールドゲーマーなら、任天堂が15年前にヴァーチャルボーイという同様のコンセプトのゲーム機を発売していたことを知っているだろう。
時代が追いついていなかったのか、3Dとは言えワイヤーフレームのみという先鋭的なコンセプトが受け入れられなかったのか、バーチャルボーイは商業的には失敗した。あまりに鮮やかな引き際は今でも語り草である。
3DSの価格は公表されていないが、25,000円~30,000円程度になるのではないかという見方が有力だ。
しかし3DSの実機が公表される直前にDSi、DSLLの値下げが発表されたことを考えるに、3DSの価格帯を「空けた」という見方もできる。
(26,800円のPSP go発売前にPSPを16,800円まで値下げしたSCEのケースもあるが、よもや同じ戦法は取るまい)
ぜひ安価な登場を期待したいものだ。
簡単には買い換えられませんぜ
対するPS3での3Dゲームは、3Dテレビを所持していることが前提となる。現在市場に出ている3Dテレビはソニーとパナソニックの製品のみ。
3Dに対応したテレビ、3Dメガネのセットになったものが対象である。
リビングに置かれることが前提である3Dテレビは、現状の所有率は決して高くない。非対応の同等のテレビと比較しても数万円高価になることもあり、購入のハードルは少し高めだ。
しかし体験してみれば、現在購入可能な3Dテレビの迫力というのは特筆すべきものがある。腰を据えて3Dを楽しむという地盤は着々と整ってきているのだ。
それに発信機と3Dメガネを別売りにした「3D対応可」のモデルであれば、従来のテレビと比較してそれほど高価にはならない。
おそらくは今年、来年と発売される大型テレビの多くは「3D対応可」の状態で販売されることになるだろう。
それでも3万円程度の追加投資は必要となり、3DSが購入できる価格帯での販売は苦戦することになるかも知れない。
軽薄短小→重厚長大
このような初期投資というハードルの違いもあるが、家族でリビングで遊ぶ(観る)PS3と比較すれば、個人単位で気軽に購入できる3DSは爆発的に普及しても不思議ではない。また、持ち歩いてどこでも見られるという携帯ゲーム機の特性から、第三者の目に触れることも多く、バイラルマーケティングによりさらなる話題を呼ぶことにもなりうるだろう。
そんな手軽な3DSの登場自体が、より高度な3D視聴の呼び水になる可能性もある。
つまり、敷居の高かった3Dが、3DSの登場でぐっと身近なものになるのではないかという期待があるのだ。他力本願にも見えるが、3DSの登場はSCEに必ずしもマイナスには働かないのである。
しかしPS3の3Dゲームも3DSも、根本的に抱える一つの危険性がある。