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次世代ゲーム機戦争=次世代DVD戦争?

今春に発売されると言われているPS3の登場で、次世代ゲーム機戦争はさらに加熱の予感。しかしそこには次世代DVD規格戦争が秘められていた…?

山道 健介

執筆者:山道 健介

プレイステーションガイド

次世代機に大容量は必要?

PS3に搭載が決定されているBlu-rayDisk。
他の次世代機はDVD、もしくはDVD準拠のディスクを採用していますが、PS3のみはいわゆる次世代DVDであるBlu-rayDiskを採用しています。
これには非常に戦略的なものを感じます。

次世代機にとって、ディスク容量は重要なのでしょうか?
結論から言いましょう。
必ずしも大容量のディスクは必要ではありません。
ハイビジョン対応の高画質CGなのだから容量もかなり必要になるのではないかと思いがちですが、そうでもないのです。

DVDとハイビジョン、そして次世代機の関係

 
Blu-rayDiskとHD DVDはこのような形で分裂していることになります。昨年末までは規格統一に向けての動きもいろいろ見られたのですが、最近ではまったく聞こえなくなってしまいました。
現行DVDは、標準画質の映像を2時間程度収録可能というのが一般的です。
画質の良し悪しはビットレートでもある程度把握できます。
ビットレートとは「一秒間にどれくらいのデータ量を必要とするのか」という値で、DVDの場合はシーンによって6Mbps程度から9Mbps程度までの範囲で収録されています。もっと低いビットレートで収録時間を延ばしているものもあります。
シーンによって、というのは「動きの激しいシーン」はデータ容量が多くなり、「動きの少ないシーン」はデータ容量が少なくてすむ、という映像の圧縮技術の特徴から圧縮率を動的に変えながら収録しているからです。

これに対しハイビジョン放送は17Mbps(地上デジタル)から24Mbps(BSデジタル)のビットレートを使用しており、データ量的には2倍から4倍必要と言うことになります。規格が違うので出来ませんが、仮に2層式のDVDにハイビジョン放送を記録したならば30分から50分程度の映像しか収録できないことでしょう。

従来のゲームはイベントシーンだけ別途製作されたCGムービーなどを(DVDの映像などと同じような記録方法で)収録し、それをゲームの合間に流したりしていました。そのほうが映像のクオリティーが高かったからです。

しかし次世代機の場合、既に次世代機自身でハイビジョン映像をリアルタイムに表示することが可能です。
DVDのような手法でハイビジョン映像を収録するより、実機で演算して表示したほうが綺麗なのです。
DVDやハイビジョン放送などは圧縮されているため、ノイズが出てしまいます。
次世代ゲーム機は自分自身で演算した結果として映像を表示するため、このノイズが出ません。その分精細感のある映像表現が可能になります。

となると、表現能力が向上した分の容量…例えば

○ポリゴンデータの増加によるデータ増量

○ポリゴンの表面のグラフィック(テクスチャ)が精細になる分のデータ増量

などがさしあたってデータが増える要因であると言えます。
一部タイトルではサウンドの5.1ch対応によるデータ増量もあるでしょう。
ですが、その分デモ画面などに使われていた映像データは必要なくなってくるのです。つまり従来のデモ画面相当の高精細グラフィックが実機で実現できてしまう分、逆に総容量を減らせる可能性もあるわけです。
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