「あれ、これ、なに?」不意にY子が立ち上がりました。「ウソ!」Y子は信じられない、といった感じで笑い出し、僕らの近くを離れました。僕とKは途方にくれて今度は彼女の友人に近づきました。「だから駄目だって言ったのに!」彼女の声が背後に聞こえました。瞬時に僕たちは、彼女に取り憑いた霊が彼女の友人に乗り移ったのだと理解しました。「イヤイヤイヤイヤ、なにコレ」Y子は笑いながらも自分の身に起こったことが理解できない様子。僕とKで具合を聞くと、「冷たい…足のほうから冷たい水が上に上がってくる感じ」と答えます。「霊って可愛そう、って思ったほうに取り憑いちゃうんだよ」彼女が困った顔で言いました。最初はわけがわからずに笑っていたY子も、次第に状況がわかり始めた様子で、椅子の上で肩を抱いてカタカタと震えていました。彼女はY子にそっと近づくと、Y子を抱き寄せてしばらくじっとしていました。目を閉じて長い間じっとしていると、長い深呼吸を何度も何度もし始め、そして不意に目を開きました。「ふぅ」周りでわけもわからずに見ていましたが、彼女の説明によると「Y子の中に入った霊を自分の体に呼び戻し、その上で追い出した」とのこと。「除霊とかはやっぱり無理だけどね、自分に入ってきたのを追い出すくらいなら何とか」彼女はそう言って笑いましたが、僕らは目の前で起きたことがなかなか理解できずに立ち尽くしていました。彼女の言動をあまり信じていなかった僕でしたが、同じく今まで心霊現象とは縁がなかったY子の変貌を目の当たりにして、あの日以来は少しだけ心霊現象を信じるようになりました。【編集部おすすめの購入サイト】Amazonで人気の PS ゲームをチェック!楽天市場で人気の PS ゲームをチェック!前のページへ123※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。