かなしい、さびしい句碑
多くの観光客は車で来るのだろう。復元された「其中庵」の上に駐車場と休憩所がある。この前に山頭火の句碑があった。日記に母の四十七回忌の日、「かなしい さびしい供養」と書かれ、次の句が書かれているのだそうだ。
母よ
うどんそなへて
わたくしもいたゞきます
母フサは自宅の井戸に身を投げて自殺した。享年33歳。山頭火が10歳のときである。
山頭火の自筆のものがそのまま句碑になっている。 |
休憩所の中は畳の大広間や山頭火の写真資料などがある。こちらにも人はいなかった。しばし、ここで休憩をした。それにしても、駅から短い距離だ。車ではなく、この道のりを歩くことが山頭火を感じるいちばんいい方法だと思う。それを車でここまできてしまうのはもったいないことだ。
実に静かでのどかな風景だ
其中庵を出て、山を下りることにした。と、その隣に畑があって、農作業をしている人がいた。訪れたのは正月2日。ごく日常のように老婦が畑仕事をしていた。 |
耳を澄ましたが、音はなにも聞こえない。実に静かな空間である。自分の足音だけが聞こえている。