門前仲町から越中島へと抜ける
江東区塩浜地区は運河が走り、今でも船が行き来する生きた運河だ |
「懐かしい」
と言った。ちょっと不思議な気分。富岡八幡宮の境内では骨董市とフリーマーケットが行われていて、これがなかなかの盛況であった。ゆっくり見たかったが、今回は先を急ぐ。
「もうすぐですよ、ここの道の向こう側かな」
通りに出てNくんが明るい声で言う。そうか、もうそんなに歩いたのか。ゴールが近いと元気になる。が、実際はぬか喜びだった。
越中島を越え、いくつか橋を渡った。江東区というのは橋の多い場所である。とは言いつつも、必ずしも川があるというわけではない。琴平橋という橋の下には川はすでになく、今は公園になっていたりする。蛤橋を渡ったところに住居表示があった。
「あー、やっときました。塩浜にあるんですよ」
なるほど、住居表示には塩浜とある。しかし、豊洲ではなく、塩浜なのか。まあいい。と、Nくんは資料を見ながら、
「このあたりなんだけどなぁ」
と悩んでいる。セブン-イレブンがないのだ。セブン-イレブンの広報の人に聞いた住所はこのあたりなのだと悩むNくん(このあと、単にNくんの勘違いと判明!)。バス停にご婦人が2名いたので、
「このあたりにセブン-イレブンはありますか」
と聞いてみた。すると、
「このあたりにはないですね……。スーパーならそこにありますけど」
と指差す。うーむ、僕たちはセブン-イレブンに行きたいのである。
「あー、それだったら、この先を曲がってズーッと行ったところにありますけど、距離的にはかなりありますよ」
と言うではないか。
「あの、そこはセブン-イレブンの1号店なんでしょうか?」
と聞くと、
「あー、そうそう。1号店ですよ」
とのこと。このあたりでは有名なのだ。お礼を言って立ち去ろうとすると、
「歩きですか? 遠いですよ」
とおっしゃる。
「ええ、歩きなんですよ」
と力弱く、答えた。