雨に濡れた梅の実と土俵のある神社
環七を横切る世田谷線。近くの陸橋から見る景色は壮観 |
とNくんが教えてくれた。唯一といわれてもなぁ、二箇所もまたがれてもと思って、ああ、と気がついた。世田谷線はほとんどが専用軌道である。それが唯一、一般道に出るのがここなのだ。今の人の感覚だと、そりゃ当たり前だろうと思うかもしれないが、市電や都電といった路面電車は、車といっしょに道路を走っていたのだ。
その姿を見るために、僕たちは環七の歩道橋の上に立った。環七の信号が赤になり、車が止まると電車が道路を横断していく姿が見えた。
歩道橋の上から天満宮が見えた。「若林天満宮」と看板が出ている。こじんまりとした天満宮だが、境内には立派な梅がある。そこにはりっぱな梅の実がなっていて、雨に濡れる姿はなんとも風情がある。
僕たちは再び若林駅から世田谷線に乗った。次に降りたのは宮の坂駅。ここで、驚いたのは僕が昔乗った、緑色の車両が駅の傍に展示してあったのだ。そう、これこれ、これだったよ。中に入ることができる。ああ、こんな木の床だった。ちょっとした感動だ。
世田谷八幡宮内にそっと存在する土俵。今の子供は相撲なんてするんだろうか |
神社の敷地は広く、奥はうっそうとした林になっていて、木の下に行くと雨が避けられた。お寺も見ようと、豪徳寺へ。
「まさにLet's 豪徳寺!だねぇ」
などと言うと、Nくんが不思議な顔をしている。ほら、昔さ、映画であったじゃない、「Let's 豪徳寺!」。三田寛子が主演だったかな。Nくんはまったく聞いたことがないと言う。この原稿を書くために調べたら、1987年制作だった。こういうときに世代のギャップを感じるなぁ。
が、肝心の豪徳寺の敷地を一周したが、門は閉ざされており、一般の人は入れないようだ。「烏山川緑道」という遊歩道を歩いた。よく整備された遊歩道だ。散歩にはいい。そして再び宮の坂駅へ。