市ヶ谷で釣堀を体験
春になると、息をのむ桜のトンネルが完成する外堀 |
外堀の内側は千代田区、外側は新宿区だ。橋をわたった駅の隣に千代田区が設置している「ふるさと文化の散歩道」の地図があるのでそれを参考にするのもいいかもしれない。
ここは都内でも有数の散歩コースである。春は桜が咲き、実に美しい。中央線、総武線の車窓の景色はずっと桜が続く、美しい場所である。
堤を少し登ると、その桜の木がズラーッと並んでいる。今は冬なので、枝だけなのだが、この季節は葉がないため逆に空がよく見える。とくにこうして晴れた日は空が実にきれいだ。そして、ここは実に歩きやすい。理由は歩く人しかいないからだ。車も自転車も通らない。木々を見ながらゆっくり歩ける。
この堤は市ヶ谷方向とは逆方向にも続いている。上智大学からホテルニューオータニまで続くこの堤は、外堀を掘削した土でできているのだ。徳川家康が江戸に入城したときにこの堀を掘らせたそうなのだが、それが今もこうして残っている。たまに見る古木などは昔からここに立っていて、いろいろな歴史を見ていたんだろうなぁとしみじみ眺める。
(上)釣りをしている間にも総武線と中央線がせわしなくホームを行き交う (中)狭そうに見えて案外広い市ヶ谷の釣堀 (下)まったく釣れる雰囲気なし。時の流れが見えるよう |
「学生時代に付き合っていた彼女とよく来てたんですよ」
とNくん。小学生の頃はバス釣りに親しんでいたという彼は釣好きなのだそうだ。いろいろ教えてもらう。今日は彼女とではなく恐縮。釣りはまったくわからない僕に餌をつけてくれたりする。頼もしい彼氏である。
釣堀、さすがになごむ。本気で釣に取り組んでいるおじさん、カップル、中学生男子のグループ、お母さんと子供など、いろいろな人たちが糸を垂れている。
まったく釣れないのだが、釣れなくてもいい。いや、むしろ釣れちゃったらどうしようと思いながら糸を垂らしていた。風は冷たいが、いい天気なので、じっと陽に当たっているといい気分。
大人は竿と餌付きで1時間870円。僕たちは1時間で終えて、また歩き始める。ふたたび堀の内側の堤を歩く。