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ネット対戦型格闘ゲーム関係者に直撃 PCとACが対戦するゲームとは?(2ページ目)

家庭のパソコンとゲームセンターのゲームをネットで繋ぎ、対戦を可能にした3D対戦型格闘ゲーム『XE+TH ゼクロス』の関係者に直撃し、このゲームが切り開く新たなネットゲームの形を探りますぞ!

執筆者:安達 孝之

■PCとアーケードの共通認証はICタグで
――『XE+TH ゼクロス』ではICタグを使用するとのことですが?

「ええ、そうですね。今あるカードを使ったネットワーク対戦ゲームでは、プレー結果をサーバーに送信してますが、『XE+TH ゼクロス』ではICチップを埋め込んだ小型のキーホルダーサイズのICタグを用意してます。これはカードだと、これ以上ゲームによって増えていけば、サイズのどこに入れるんだ、という話になってくると思うんですよ。ならば、携帯にでもつけられるキーホルダーにしようと」

――このICタグに登録される情報は、どういった方法で登録されるんでしょうか?

「まずプレー前に登録することになります。これはPCでもアーケード筐体でも登録できるようになっています。そしてPCではICタグにシリアルが打ち込んであるので、これをプレーヤーが打ち込んでもらえれば次回のプレーからデータが反映されて、アーケードならICタグにアンテナが組み込んでありますので、ICタグをかざすことでデータが反映されます。そしてゲームをプレーすることで発生したポイントなどは、ICタグではなく、サーバーに登録されて管理されます」

――資料によると、ゲームに広告要素取り入れるとありますが、これは?

「これはあくまでもプランなんですけど、企業広告や商品広告の展開も考えています。例えばフィールドに広告を貼ったり企業のマスコットキャラクターを登場させるなどして、企業から開発賛助金を頂くとか、私たちのチームに参加していただく……、そういったことも考えています」


残念ながら実物のICタグを見ることはできなかったが、八十川氏が表現したサイズは名刺の3分の1から4分の1ほど。確かにこのサイズならキーホルダーとして差し支えの無いサイズ。すでに私のサイフは、ネットワーク対応ゲームのICカードでパンパンなので、こういったアイデアは非常にうれしい。



■サクサクっと楽しめるネットゲーム?

――それでは、少々話題を変えて。PCとアーケードで対戦することで得られるメリットってあるんでしょうか?

「やはり業務用ゲームのみの対戦となると、対戦者が限られてくるじゃないですか。日本の市場でアーケードを考えた場合、条件が整っている場所というのは、だいたい500から1000カ所と考えています。そんな数の中では、何時でも常に多数の対戦者がいるという状態にはなにりくいと思うんですよ」

――そうですね。常にそのゲームで誰かがプレーしている、そんな状態が各地のゲームセンターでムラなく続くとは考えにくいですね。

「だとすれば、PCのユーザーを仮に1万5000と見積もれば、そういった状況を無くせると思うんです」

――それでは、PCとアーケードのプレー単価はどうなってくるんでしょうか?

「これはもうだいたい決まっています。PCの方はだいたい千円以下におさまるんじゃないかな。で、アーケードの方は100円か200円か、これはオペレーターさん次第というところで」

――プレー単価の価格差や、家庭でできるPCゲームとゲームセンターに出かけてプレーするアーケードといった利用法の違い、そんな相違からPCとアーケードの間でユーザーの数の偏りが出るなどといった心配はありませんでしたか?

「確かにPCでできるなら、アーケードをわざわざゲームセンターに出かけてプレーする人がいるのかって疑問もあるかと思います。ですが、家庭用PC版はPCに要求するスペックがかなり高いんです」

――あぁ、いわゆる低価格な大衆向けパソコンが持つようなスペックでは厳しくて、それなりのグラフィックボードも必要になってくると。そうなると、パソコンは持っていても快適な環境で楽しめないならゲームセンターということになりますよね。

「そうですね。それと、やっぱりPCでオンラインゲームを楽しむユーザーと、アーケードでゲームを楽しむユーザー、両者はあまり重ならないと思うんですよ。PCとアーケード、両方楽しんでますという人は少ないと思うんですよ。

――なるほど。その接点が少ない両者を結ぶのがこのゲームという訳ですね。

「ええ、そこに魅力があるわけです。また、格闘ゲームというネットワーク対戦ゲームは、これから先、こうでなくてはいけない、というものが私たちの中にあるんですよ。というのは、今あるMMORPG、あれはユーザーが複数のアカウントを持てない、もしくは持ちにくいじゃないですか。となると、事業者としてはとても困るんですよ」

――プレーの方法次第ですけど、やっぱり大半のMMORPGは、プレー時間がかさみますよね。

「1日3、4時間もMMORPGをやっていれば、なかなか次のアカウントを持てないでしょう? でも格闘ゲームというのは、1プレーのスパンが短いから、複数のアカウントを持てるんですよ。だから「サクッと入ってサクっと出られるようなネットワークゲームを今後推進していこうと考えているんです。30分ぐらいプレーすれば、十分満足感が得られるそんなゲームが、アーケードでも100円ぐらいから楽しめる、そんなゲームですね。

――魅力的ですね。

「ええ、これが考え方のベースにあるんです。そうでなければダメだろう、と。そしてそれは新たな市場の開拓にも繋がるだろうと。今後、新たな市場を目指さなければ厳しいですよ。MMORPG、みんなが作ってます。だけど、これってただのシェアの食い合いなんですよ。だから我々はこんな「サクッと入ってサクっと出られる」、気軽にプレーできるゲームはどうですか、と。それにこのネットワークを使ったゲームシステムは、オペレータさんにとってもプラスだと思うんですよ。対戦となれば店内対戦でも最低、2台のゲーム筐体が必要になってきます。ですがネットワーク対戦なら1台で対戦できるわけですから、コスト的にも安くあげられるのではないか、と。私たちは業務用の販社でもあるので、オペレータさんのことを考えなければ未来はないんですよ」

――今後、『XE+TH ゼクロス』に続くゲーム展開は考えられているんですか?

「まだ、『XE+TH ゼクロス』も日の目を見ていない状態なんで(笑)、なんとも言いにくいですが、2作ほど考えてはいます。対戦格闘というカテゴリー以外でもシューティングゲームとかは考えてはいます。ただ、MMORPGだけは作らないぞってね(笑)」

――すでにショーなどでも発表されていますが、業界的な反応はいかがですか?

「できるわけないよってカンジですね(笑) それだけに燃えてくるんだけど。でも逆にがんばってくれっていうような応援の声も頂いてますよ」

確かに対戦で楽しむゲームだけに、プレーするなら人が大勢集まった中でプレーした方が賑やかで楽しいもの。そういう意味ではPCとアーケード、2つの窓口がある『XE+TH ゼクロス』は何時でも参加するプレーヤーに困ることはないだろう。

それに、主にPCでゲームをプレーしてきた人と逆にアーケードでプレーしてきた人が、ひとつの土俵で戦うというのも、これまでのゲームには無い新しい魅力。PC同士やゲームセンター内で対戦してきた人々とは、ひと味違った対戦が楽しめるはず。

また、MMORPGのように時間をかけず、さっとプレーしてさっと終了できるゲームは、これまで時間がかかって面倒だという人々にも間口をひろげ、さらなるプレーヤーを獲得できるのではないか、と考えさせられてしまった。

(C)アミューズメント・ギルド・チーム・ゼロ
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