■2つのカードそれぞれのメリットとは?
ユーザーとして真っ先に考えたいのはやはり利便性。当然、どちらもキャッシュレスを謳っている以上、プレー毎のコイン投入の必要が無く、コインを作る為の両替作業からも我々利用するユーザーは解放される。
となると、利便性で焦点になるのはプレー料金の支払いは、後払いがいいのか、それとも前払いがいいのか、という点。まず前払いの長所は、ともすれば一括でプレー料金を払うことになるので、プレーのしすぎで想定していた料金をオーバーしすぎることはない。
毎月、ゲームセンターで予想外の出費をしている人には丁度いい前払いシステムだろう。一方、後払いはと言えば、子供連れてゲームセンターに行く際、子供に現金を持たせなくて済むし、恋人と行くなら、小銭をせこせこ用意することもないし、スマートに彼女の分も後払いのレジでスマートに支払いを済ませられるのもひとつの利点か。
さらに後払いとしている「ATO」カードなら、レジで精算時に、領収書を発行してもらうことも可能。なかなかゲームで経費とする仕事はそうそうないだろうけど、家計簿などをつけている人には便利だろう。
じゃあ、後払いができる「ATO」が一番便利、と言いたいところだが、ゲームプレー以外での使用も想定すると、そうも言い切れない。「Edy」カードはすでに、ネットショッピングや街中の一部店舗などで幅広く使用されている。
現に、「Edy」を導入したゲームセンターでは、店舗内の自動販売機も「Edy」対応にするなど、様々なところでサービスを受けられるようになってきている。ゲームセンターで購入した「Edy」カードも、使用後も入金してチャージすれば、他の「Edy」対応店舗で使用することができる。
「ATO」カードは、今後ゲームセンター以外でも利用は進んでいくと思われるが、「Edy」のように同一のカードで幅広く使用することはないだろう。そう考えると、常にサイフ等に入れ携帯して様々なサービスに活用できる「Edy」が利便性は高そうだ。
■新システムに新形態のサービス
現状では「Edy」がやや優勢としたが、これらシステムが競合してサービスが向上するのは、一般ユーザーも大歓迎するところ。「ATO」カード導入店では、既に基本プレー料金を77円としている店舗や、オープンから2週間、プレー料金半額など柔軟な価格設定を行う店も。
その他、システム自体は柔軟に対応できるので、「ATO」環境を勧めるタカラ・アミューズメントは、プレー料金の従量制サービスやバーゲンのようなタイムサービスも可能だと広くアミューズメント業界にアピールしている。
また、このシステムに日本ユニカが提案する携帯電話課金システムなどを始めとしたサービスを融合するパターンや、株式会社セガ アミューズメントのようにキャッシュレスの利便性などを追求する一方、ゲーム開発への応用による新しい遊びの創出も目標に掲げて、ゲーム自体に影響を与えるような動きもある。
今後も、ゲーム自体はもちろん、キャッシュレス環境を実現するICカードにまつわるニュースから目を離せない。