16戦全勝。8試合にストレート勝ちし、フルセットにもつれ込んだのはわずか2試合。1度たりともセットを連取されることのない完璧な試合内容で日本代表の座を射止めた新井周。彼はどのような思いで、今回の選考リーグ戦に臨んだのだろうか。
「10月に日本リーグがあったんですね。そのあとすぐですから、そんなに意識はしてなかったです。意識してたのは、やっぱり全日本。全日本に向けての練習試合だと思って臨んでました。代表? 全然狙ってないです。だって1人ですもん。まだ全然実感もないし。結果的に勝ってるんですけど、ほんとに氷の上を走っているようなもんで、一歩間違えたらこけてましたね」
リーグ戦の開始当日、試合日程と対戦順が一斉に発表された。新井の初戦の相手は、遊澤亮(東京アート)だった。
「発表されたとき、『あっ、これ、初戦が勝負だな』って思いました。僕の中では遊澤君に勝たないと1位は難しいと。あの選手はそう簡単には負けないです。強いんですよ。もちろん、ほかに強い選手もたくさんいますけど、僕の中では1番の優勝候補にあげてましたから。あの選手に勝たないかぎり、たぶん上は難しいだろうって思ってました」
「気をつけたのは、技術じゃなくて、集中力ですね。どっちか凡ミス少なければ、勝つんじゃないかと。初戦で、まだ身体あったまらないし、もちろん緊張感もあるし。そこだけ気をつけてやったんで。初戦でああいう結果になって、そのあとのっていけたんですよね」
優勝候補の筆頭とみていた遊澤を3-0で下した新井はそのまま全勝街道を突っ走り、同じく全勝を保っていた大森隆弘(東京アート)と、2日目の最終戦で対戦した。第1セットをジュースの応酬の末、19-17でもぎ取った新井は、第2、第3セットも奪取。前半戦の「天王山」を制して、単独トップに立った。