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全日本選手権 女子シングルス 礼と杏、それぞれの壁(後編)(2ページ目)

全日本選手権の女子シングルスの決勝の舞台に立った梅村礼(あや)と小西杏。新時代の到来を鮮やかに印象づけた2人が乗り越えた壁とは──。後編は小西の軌跡を綴る。

執筆者:壁谷 卓

準決勝に至るまでの道のりはけっして平坦なものではなかった。見ている者が思わず息を呑んでしまうような試合展開だった。マッチポイントを2度も奪われたのだ。

最初の危機がベスト8入りをかけた四元奈生美との一戦だった。最終セット、6-6から3本を連取して突き放したのだが、逆に四元に4本連取されて後がなくなった。2度目が、四天王寺高校の後輩の杉田早苗との準々決勝だった。2セットを先取しながら、連続して3セットを落とし、第6セットにマッチポイントを奪われたのだ。

だが、いずれの局面も「捨て身」とも思える強気の攻めでマッチポイントをしのぎ、逆転勝ちにつなげたのである。
「追い込まれても負けって決まったわけではないんで、最後の最後の最後に絶対自分は勝てるっていう自信があるから、競ってても思い切りいけると思うんですけど」

1年ちょっと前のシドニー・オリンピックに出場した小西は、当時世界ランキング6位にいた韓国の柳智恵と、ベスト8入りをかけて対戦した。セットカウント2-2で迎えた最終セット、20-19とマッチポイントを奪ったのだが、単調なツッツキレシーブを相手に攻められ、そこから逆転負けを喫した。なぜ攻めなかったのだろうという悔悟感が、しばらくのあいだ離れなかったという。

「知らないうちにそういう経験が身についてて、自然に出るんじゃないでしょうか。攻めようって意識しているわけじゃないんです。競ったときほど集中するし、計算もするから、自然と攻めるチャンスが増えるんだと思います」
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