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2001全日本選手権 男子シングルス カット受難時代の価値ある優勝(4ページ目)

全日本選手権の男子シングルスで6年ぶり3回目の優勝を飾った松下浩二。40ミリボールになって一段とカットマンの受難が囁かれる時代において、価値ある優勝だった。

執筆者:壁谷 卓

勢いに乗る松下が第5セットも奪って王手をかけたが、第6セットの偉関は落ち着いていた。丁寧なドライブと鋭いストップで、松下を前後に激しく揺さぶった。序盤からリードした偉関が逃げ切って、勝負は最終セットにもつれこんだ。それは、準決勝直後に松下が「僕が勝つなら4-3のジュースでしょうね」と語っていた通りの展開だった。

最終セット、松下はフォアサービスで勝負にいった。
「偉関さんには同じサービスを出すと効かなくなってくるんですよ。それをごまかすためにいろいろなサービスを出して、どれが効くかなという感じでずっと様子を見ていたんです。それで最終的にフォアサービスのほうが効くな、ということで、7セット目はほとんどフォアサービスで攻めていったんです。僕はバックサービスのほうが得意なんですけどね」

対人競技では、必ずしも自分の得意技がもっとも効果的だとは限らない。松下は得意技を封印して、偉関の弱点をつく作戦にでた。結果的に、この作戦が功を奏した。偉関も「フォアのサーブが回転力、すごいあるんですよ。昨年当たったとき、こんなサーブなかったから」と松下のフォアサービスをいやがっていたからだ。松下には相手がよく見えていたのだ。

松下は気合いを前面に押し出し、5-1とリードしてチェンジエンドした。一時、6-5と詰め寄られたものの、精神的には余裕があったという。
「あと1セットだし、身体がこわれてもいいので、動きまくってやろうという気持ちだったですね。勝ち負けとか、あんまりこだわってなかったんですよ。逆に偉関さんのほうが焦ってくれて、すごく急いで打ってきましたよね。それで何本もミスしてましたし。最終セットが一番楽でした」
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