フェデラーが使用するラケットの進化」では、2001年以降の3モデルと、そこに隠されたラケット開発の葛藤についてご紹介しました。今回は、その後続くラケットの進化について引き続き説明していきます。

賛否両論、決着はフェデラーの活躍

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左から4thモデル、5thモデル、3rdモデル
4thモデルと5thモデルは、3rdモデルと形状は変わりません。形状大きくが違う2ndモデルは外すと、1stモデルと3rdモデルは黒基調。4thモデルで2005年発売「n SIX-ONE TOUR 90」は、鮮やかな赤基調に白。発売当初は日本のテニスショップでの間では賛否があったようですが、その後のフェデラーの爆発的な活躍により、むしろ人気カラー(デザイン)となりました。「nCode」というシリーズ名称を作り、モデル名からPRO STAFFが消えることになりますが、フレームには「PS」という「PRO STAFF」を示す文字をプリントし、プロスタッフの流れを引き継いでいることをアピールしています。

5thモデルは2007年登場の「[K]SIX.ONE TOUR 90」。[K]FACTORシリーズが登場し、ウエアやバックなどとデザインの統一感を出してきます。

繊維と繊維の隙間を埋め、高められた剛性

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繊維と繊維の隙間を埋めることで剛性が増える
3rdモデルまでは「ハイパーカーボン」という素材や、「ダブルブレイド製法」という素材の編み方の開発により安定性を向上させてきました。カーボン繊維は素材自体は硬く軽く弾性があるので、今もラケットの主流として使われています。とはいえ、繊維の隙間の間には細かな隙間があり、それがねじれやフレーム面のブレなどを引き起こす原因の一つになります。4thモデルでは、その繊維の隙間に、シリコン・オキサイトというものを入れることで安定性を高めます。

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左がnCode、右が[K]FACTOR
5thモデルでは、間を埋めたシリコン・オキサイトと繊維と結びつけることになります。この技術をウイルソンは「カロファイト・ブラック」([K]AROPHITE BLACK)と呼んび、フェデラーのラケットはさらに剛性を増すことになります。


ラケットの安定性向上により、ボールも飛ぶように

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「従来ラケット」はnCodeを示す。5thモデルはシャフトにねじれがなく、まっすぐ飛ぶようになっている
4thモデルと5thモデル、何が変わったのかを表すのが右画像。ウイルソンのバトミントンラケットを固定して、面にシャトルをぶつけた直後に撮影されたものです。

左はラケットがねじれ、シャトルがまっすぐ飛んでいないのがわかります。右はラケットのねじりがなく、まっすぐシャトルが跳ね返っています。バトミントンラケットのシャフトは、テニスラケットより柔らかく差が顕著に現れるので参考程度となりますが、安定性を増すことがコントロールだけでなく、シャフトの飛びを良くすることがわかります。

このように、フェデラーのラケットはフレームが薄くてもボールを飛ばすことのできるラケットへと進化していったのです。



<関連リンク>
フェデラーが使用するラケットの進化

取材協力:村上功(プレイヤーズハウス)
取材協力、画像提供:ウイルソン

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