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車いすテニス世界一!斉田悟司と国枝慎吾(2ページ目)

フェデラーにある記者が質問した。「日本人は何故勝てないのか」と。すると、フェデラーの口から出てきたのは2人の日本人選手の名前だった。

執筆者:吉川 敦文

日本チームを支えた緻密な分析力

車いすテニス
勝利の裏には緻密な分析力とそれを支えるスタッフがいる
チームメイトの藤本佳伸(世界24位)、池ノ谷俊夫(世界42位)が出場したのは1回戦のスロバキア戦、3回戦(準決勝)のスウェーデン戦の2試合。ともにシングルス2つを勝ち、自身としては消化試合としてのダブルス出場であった。

丸山は「彼らが消化試合と考えず、力を出しきってくれたおかげで日本は勝利した」と言いきる。彼らは初戦からライバル達のデータを取り続けた。丸山は徹夜でそれを分析し、戦術を作り出していく。そうして作られた戦術を斉田、国枝はコートで実践していく。

試合の分析、そこから戦術を作り出すこと、その戦術を実行することは、普段から行っていなければ簡単に成功するものではない。付け焼刃で行えば、空回りすることが多いのだ。彼らが成功しているいうことは、普段から実践し、チームとして経験をつんでいる証拠に他ならない。

「常識」「良識」。それは世界レベルになると必携

斉田国枝丸山
多くの人に支えられている感謝の気持ちを糧に、斉田・国枝・丸山は試合に挑み続ける
2007年ローランギャロス、杉山愛のヒッティングパートナーとしてフランスに同行した越智亘が、斉田や国枝の試合を見たときの感想をこう言っていた。

「体が震えた。車輪がガガガって言っているようだったよ」

目の肥えたテニスの専門家の体ごと震わせるようなテニスを彼らはしているのだ。感動を与えてこそプロであろう。人に感動を与えるほどのテニスをする彼らは普段どのような環境で練習をしているのか。

日本チームが普段練習している吉田記念テニス研修センター(千葉県柏市)は車いすテニスの聖地のようなところ。テニストレーニングの施設として日本で有数の場所であり、私もそこでトレーニングを積んでいた時期があった。現在も研修会等で学びにいくことが多くある。扱われるトレーニング方法論は常に研究され進化している。

彼らの強化は、ここで長期的な計画の元で行われている。高い質の練習、施設内にあるジムで行われる日々のトレーニング、世界中から集まる情報。私がこのジムを使っていた頃は、国枝はまだ若かったが、斉田はいつもジムにいた記憶がある。今も彼らは満足することなく飽くなき自分を追求している。

ただ、丸山が一番大切にしたのはそこではないのだ。

「世界に通じる技術力・体力・気力に留まらず、普段の生活における常識や良識においても世界レベルあるべき。実際に彼らは人を引き付ける魅力を十分に兼ね備えている。だからこそ今の彼らがあるのだ」

と丸山は言う。

アスリートである彼らの精神的な強さは、日々の鍛錬、生活から生まれているのだろう。一気通貫、すべては見事につながっているのだ。



<関連リンク>
株式会社OXエンジニアリング(斉田悟司選手所属)
麗澤大学(国枝慎吾選手所属)
国枝慎吾公式ブログ
斉田悟司Official

<取材協力>
日本車いすテニス協会ナショナルコーチ 丸山弘道
吉田記念テニス研修センター
テニスカフェSNS内、車いすテニスのコミュニティのメンバー
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