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真夏の両国3連戦、プロレスで話そう(2)(3ページ目)

8月15日にIGFが、16、17日には新日本プロレスが、それぞれ両国国技館でビッグマッチを行った。“プロレスで話そう”続編は、G1クライマックス・ラスト2Daysについて。

執筆者:川頭 広卓

G1最終日とK氏の手記

17日は、最終日となるG1決勝戦。所用により会場に行くことができなかった私に、K氏は手記を送ってくれた。

K氏は、かつて某大物関係者から「見るからに上質なプロレスファン」と呼ばれ、私自身もプロレスに疑問を持ち、取材モチベーションが著しく下がると、まずは彼に会って話を聞くことで“とりあえずは前向きになる”。そんな“良心”と呼べる存在なのだ。

残念ながらG1優勝戦を近しい関係者で語ることはできなかったが、大会のレポートは、K氏の手記に代えさせて頂こうと思う。

新日本プロレスG1クライマックス決勝戦に興奮した僕は、その帰りに水道橋駅のプロレスショップで、「新日本語録」というDVDを買った。

鈴木健想の「僕には明るい未来が見えません!」発言を観る。

改めて観れば、かなり噛み噛みで、驚き、そして笑った。

世間は、お盆休みである。

サービス業をしている友人に聞くと、お盆はお客が少なく暇だったそうだ。
実際、大会6日目の試合後、僕は銀座のクラブ(踊るほう)に行ったが、客入りは普段より少なく、普段の30%減と言ったところ。

もし、プロレスが同じサービス業だとしたら、G1の客入りはどうだったのだろうか?

大江戸線の両国駅から両国国技館に向かうと、大勢の当日券の列が見えてきた。

国技館の中に入ると、2階席は満員、1階の桝席は90%ぐらい埋まっている。

第一試合の天山広吉×中邑真輔からファンは大興奮、1万人の天山コールが起きた。

「テ~ンザン!テ~ンザン!」

2、3年前の両国大会などと比べても、明らかに違うのは、招待客ではない本物の新日ファンがチケットを購入して観戦していること。

熱が違う。違いすぎる。

純粋にプロレスを楽しんでいることが分かるのだ。

彼ら(彼女ら)には、昔のプロレスファン独特のコンプレックスが無い。
カラッとしている。ポップである。明るい。

闘魂三銃士世代とも違う、新しい世代のファン。

そして、新日本は、そのようなファンを後楽園ホールから地道に育てた。
試合で魅せ、仕掛けで魅せ、ファンとの信頼関係を築いた。

「新日本の歴史とは、裏切りの歴史である」と勝手に思い込んでいる、我ら昭和の亡霊とは、感覚が違い過ぎる。

メインイベントのG1決勝戦は、真壁刀義×後藤洋央紀の試合だ。

昭和の亡霊たちは、真壁優勝で混沌としたエンディングを期待しているのだから、なんとも食えない。

GBHの介入により、真壁が試合を組み立て、客をヒートアップさせる。新しいファンたちによる大後藤コールが自然発生した。

最後は、大流血をした後藤が、ファンの後押しを背に、ラリアットと昇天で勝利。見事にG1初出場、初優勝を遂げた。

その光景は、彼ら新しいファンが求めるハッピーエンドなんだと思う。
新日本は最後まで、新しいファンを裏切ることをしなかった。

新しいファンに、裏切りのダイナミズムを教えるのは、まだ少しだけ早いのかもしれない。いや、知らなくてもいい世界なのだ。だから、これでいいのだろう。

今、新日本プロレスは成長期であり、これから成熟期に入る。
僕は、1、2年後の新日本が純粋に楽しみだ。

2008年G1クライマックス、「明るい未来が見えました」。


◇関連リンク
新日本プロレス公式サイト
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