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女子プロレスを考える 『滅びの美学』編(2ページ目)

人気低迷、復興の兆しすら見えない女子プロレス界。最近では、語られる場や機会すら減っているようだ。そんな女子プロレスを考える不定期座談会。第1回は 『滅びの美学』編―

執筆者:川頭 広卓

欠けたプロ意識、崩壊する選手の価値観

G:今日はお忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。今回より、不定期シリーズながら女子プロレス座談会を実施して参ります。低迷が続き、回復の動きや兆しすら見えない女子プロ界ですが、業界の現状を考えながらも、テーマに縛られず、ざっくばらんに語っていきたいと思います。

W:分かりました。現状にいちいち突っ込みを入れるというよりは、前向きに語っていきたいですね。

G:おっしゃる通りで、暴露的なことなら誰でもできます。そうではなくて、最近の女子プロを観ていると“語られる場”すらない気もします。「女子プロの火を灯すな」とか大それたことを言うつもりはありませんが、こういった場を設けるだけでも意義ある機会にはなるのかな、と。ゆくゆくは、OB選手や違った関係者にもご参加頂きたいですね

J:趣旨は分かりました。

G:ただ、いくらポジティブとは言え、もうどうにもならない程に女子プロレスの現状は荒廃している気がしてなりませんが、話しの取っ掛かりとして、今回は“選手”をテーマにしてみたいと思います。

W:それは滞る循環を指しているのですか?もしくは、選手の意識レベルの問題なのか、癒着や馴れ合いを指しているのか・・・?

G:もちろん、全てです。が、決して全選手を指している訳ではありませんので誤解しないで下さい。まず、一つ挙げれば、私は選手のブランディングがあまりに酷いと思っています。

W:要はこの団体では勝つのに、この団体では負ける。この団体ではメイン級なのに、この団体では第1試合をやらされているってことですよね。選手の価値観が崩壊しているという、ね。

G:それは所属する団体がなかったり、マネージメントする人間もいないので仕方がないのかもしれませんが、フリーならフリーで自分の価値を守ったり、考えたり、向上していかなければならない・・・。どの業界もそうですが、フリーで飯を食っていくってメチャクチャ厳しいものじゃないですか?

J:まず、その仕事に対するプロ意識は欠けますよね。

G:ええ。その根源を探っていけば、ベテラン選手が循環せず、いつまでも狭い世界で威圧感を出していたり、選手間の馴れ合いから、試合のオファーがあれば(不本意な条件であっても)断われない現状もあるでしょう。この積み重ねによって、狭い女子プロレス界なのに歪が出たり、辻褄が合わなくなる。

W:よく言われていることですが、女子プロに蔓延るベテラン選手の問題は深刻ですよね。なんか、選手によってはリングで試合をすることが、どっか副業的になっていません?普段は飲み屋とかで働いて、試合があれば、やっぱりプロレスが好きだし仲間や後輩も全員レスラーだから喜んで出てくる。

G:ただ、ここで言うベテラン選手はどの程度のキャリア以上を指すのか?私から言わせて貰えば、まだ引退して貰っちゃ困る選手なのに、既にプロレスが副業的な選手もいる。かと言って、大ベテランですけど、いつまでもプロレスに対して、真摯に取り組んでいる選手もいます。この話しをするなら、「ベテラン選手」というよりは、「プロ意識」的な問題になる気がしますよね。
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