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WWEレッスルマニア・レポート2007(2ページ目)

世界最大のプロレスの祭典、WWE『レッスルマニア』が今年も幕を開けた。壮大なスケールでファンを魅了する一方で、ベテラン選手に圧倒的支持が集中するのもまたWWEの実情といえる。

執筆者:川頭 広卓

主力のケガ、サプライズの消滅、それでも凄みは失わず

80,103人の大観衆を動員し、壮大なオープニングと共に、今年もレッスルマニアが幕を開けた!
さて、レッスルマニアに話しを戻そう。ミシガン州で開催されたレッスルマニアといえば、1987年にシルバードームで行われた『レッスルマニア3』があげられる。ハルク・ホーガンvsアンドレ・ザ・ジャイアントの一戦をメインに、9万人以上の観衆を集めた歴史的大会となった。

あれから、20年。今回、『レッスルマニア23』では、当時のホーガンvsアンドレ戦をプロモーションイメージに挿入、Grown Upというキャッチフレーズを用いて、あの頃、レスラーに憧れた子供達が成長し、今のスーパースターとなっていく様子を美しく描いた。

残念ながら、今回のレッスルマニアには“噂”されていたホーガンも(アンドレを連想させる)ビッグ・ショーも出場することはなく、更には、HHHやミステリオといった主力選手のケガによる欠場という痛手もあった。

それでも、現在のWWEが持つベストメンバーを総動員。リック・フレアーとカリートがダークマッチから登場したことも選手層の厚みを際立たせる要因となった。ちなみに、このダークマッチは、試合形式が何故かランバージャック戦となっており、試合のないスーパースターが“とりあえず顔見せ”とばかりに大挙してリングサイドを囲んだ。その光景は豪華である反面、所狭しと選手が並ぶ無理矢理感は滑稽でもあり、大会前から妙に和んでしまった。

しかし、ダークマッチを終えた次の瞬間、凄まじい爆音と共に火柱が上がって、いよいよプロレス界、いや、エンターテインメント界最高峰の祭典がスタート。第1試合から8人参加のマネー・イン・ザ・バンク ラダーマッチが行われ、ジェフ・ハーディがラダーから場外へギロチンドロップを試み、エッジを完全KO。結果こそ“伏兵”Mr.ケネディの勝利となったが『レッスルマニア23』は衝撃的なシーンで幕を開けた。

また、第4試合では、世界ヘビー級王座戦、バティスタ vs アンダーテイカーの一戦が行われ、本大会ベストマッチを記録。続く億万長者対決では、“ストーン・コールド”の登場に、敗れたMr.マクマホンがスキンヘッドになる歴史的名場面も加わり、最後は、WWE王座戦、ジョン・シナ vs “HBK”ショーン・マイケルズの一戦が大会を締めた。

急造スターに起こる不思議な現象

2年連続、レッスルマニアのメインを勝利で飾ったジョン・シナ。しかし、ファンの信頼を得るには、まだ時間が掛かりそう?
今大会でまず印象に残ったのが、昨年以上に鮮明となった選手への声援。具体的にいえば、ベビーフェイスにも関わらず、戦前から大ブーイングを浴びていたジョン・シナは、2年連続レッスルマニアのメインを勝利で飾る偉業を達成するも、最後までファンの反応を変えることはできなかった。

この傾向は、昨年より一層顕著に表れ、WWEのプッシュによって成りあがったとされる“作られたスター”ジョン・シナ、バティスタには立場、ストーリーを無視した容赦ない罵声が浴びせられ、その一方でHBK、アンダーテイカーら“現役レジェンド”は大歓声で迎えられている。

もちろん、シナが不人気かといえばそうではなく、要はファンから支持の得方が不思議と2分されているということ。これもまた急造スターが故の現象なのか。

それにしても、現在のWWEにおいて、カリスマ的支持を集めるHBK、アンダーテイカーらはベテラン中のベテランで、今後何年もトップを張り続けるのかは未知数。“かつての絶対的主人公”オースチンもスポットでの登場のみとなり試合はできない。見た目とは裏腹にWWEの新陳代謝は大きな偏りをみせはじめており、ここ1、2年が彼らにとっても重要なファクターとなるのだろう。

来年のレッスルマニアは現地時間3月30日、アメリカフロリダ州にあるオーランドのシトラス・ボウルで開催されることが決定。WWEの新たな一年はもう動き出している。


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