巨大なサブカルチャーがデトロイトに恩恵もたらす

WWEレッスルマニアの会場フォード・フィールド(右)に隣接するのは、 デトロイト・タイガースの本拠地コメリカ・パーク(左)
『レッスルマニア(WRESTLE MANIA)23』。今年もWWEが送る世界最大規模にして、業界最高峰となるプロレスの祭典が行われた。

開催地となったのは、ミシガン州デトロイトは、元来、フォード、GM、クライスラーに代表される自動車産業地であり、モーターシティとして栄えたことで知られる。だが、周知の通り、1970年代から日本車の台頭によって経済状況は一変。関連会社は軒並み倒産し、人口も流出。治安は全米最悪と言われる程にまで悪化し現在に至っている。

14時間のフライトを経て、デトロイトに到着すると、空港から滞在先のホテルまではタクシーでの移動となった。タクシーの窓から流れゆくその景色は、人通りのない閑散とした街並み。いわゆるゴーストタウンというものを初めて目の当たりにした瞬間でもあった。いまだ反日感情も残っていることもあってか、乗車したタクシーの運転手は「夜に出歩くな」「黒人には気をつけろ」と聞いてもないのに教えてくれた。

レッスルマニア23の舞台となるフォード・フィールドは、NFLデトロイトライオンズの本拠地で、道を1本挟んで、すぐ隣にはMLBデトロイトタイガースのコメリカ・パークが隣接されている。ゴーストタウンのど真ん中にそびえ立つ巨大な2つのスタジアム。日本の常識では考えに及ばない、アメリカのスケールにはなんとも驚かされる。

さて、このプロレスウィークには、デトロイトに2500万ドルの経済効果をもたらし、これらはスーパーボウルやワールドシリーズに匹敵するという。事実、今回の取材をセッティングしてくれた関係者によると、フォード・フィールド近隣ホテルは全て満室で予約に四苦八苦したそうだ。

閑散とした街中のどこにレッスルマニアの盛り上がりが、さらには経済効果があったのか。全くもって実感するものはなく、見かけたレッスルマニアの看板も1つだけ。現地の人に話しを聞いても、大半は「そんなの観にきてるのか?クレイジーだな」と鼻で笑われる。サブカルチャーは、どこまでいってもサブカルチャー。WWEレッスルマニアといっても、あくまで初級~中級世帯を対象とした娯楽の1つにしか過ぎないのだろう。