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息吹に集まる「女子プロ」復興への期待

女子プロレスラー 吉田万里子自主興行「息吹」。この大会のタイトルには、低迷する女子プロレス界を復興へと導く、若き選手達の新たな時代の息吹を感じてほしいという意味が込められている。

執筆者:川頭 広卓

若手の育成。それが「息吹」のコンセプト

若手の育成が「息吹」のコンセプト。ファンの期待が集まり始めている
2005年6月から始まった女子プロレスラー 吉田万里子自主興行「息吹」。これまでの全4戦は数百人規模の会場ながら、いずれも超満員を記録。回を重ねるごとにメディアへの露出も増え、ファンの期待も集まり始めた。

「若手を育成していくことが必要とされているのかな」

吉田は慎重に言葉を選びながら、そう口にした。

息吹のコンセプトは、“若手の育成”。女子プロレス界の未来を誰よりも真剣に考える吉田は、所属する団体を問わず、若手の底上げに着手。さらには活躍する舞台まで自らの手で用意をする。自分の弟子でもなければ、息吹に所属する新人でもないのに。

欠如している若手の育成場

現在の女子プロレス界には若手を育成する土壌がない。確かに団体・イベントは今も増え続けている。ところが、興行を開催するに当たって最も肝心なコンセプトがいまひとつ不明瞭なケースも多い。また、フリーを中心とした選手の行き来ばかりが頻繁に行われ、異なるイベントでありながら、同じ対戦、同じ顔ぶれしかファンに提供できていない現状がある。見る側にとって興行の差別化が非常に難しく、ごく限られたコアのファンを奪い合っている状態が続いている。

そんな中、“若手の育成”を掲げ、唯一と言っていいほど明確にコンセプトを打ち出しているのが息吹だ。エンターテインメント全盛のいま、一見すると地味で堅いイメージは拭えない。しかし、複雑でマニアックなストーリー展開を重視し、固定ファンの争奪戦を繰り広げる既成の団体とは明らかに一線を画している。息吹が女子プロレス界の未来を託せる希少な存在として、脚光を浴びつつあるのも当然と言えるのかもしれない。

競争原理をテコにした弱肉強食の戦い

2006年からは定期開催を視野に入れ、また、デビュー前の新たな新人育成も始まり、着々と成長を遂げている息吹。それでも、吉田は慎重な姿勢を崩さない。

「大きい会場を使えば、それなりのものを要求されたり、名の通った選手を使わざるを得なくなるので、それはやめようと思う」

そのコンセプトはぶれることなく、大会の認知度が上昇している今でも、決して足元を見失うことはない。

「前回の大会でまだまだ自分の思っているレベルまで達していない部分もあったし、こっちから見てて、テンションが下がってきている選手もいるんですよ」

また、プレーイングマネジャーとしての厳しさは相変わらず。レギュラー参戦を果たす選手であっても、決して馴れ合いにはせず、試合の成果や反響はすぐさま次回興行へと反映される。結果的には、それが若手同士のライバル心を煽り、選手は闘いに意義を見出していく。競争原理をテコにした弱肉強食の戦いは息吹の醍醐味であり、現在の女子プロレスにもっとも欠けている要素ではないだろうか。

必要以上に見栄を飾ることも、虚勢を張ることもない。現実を披露し、ダメなら何度でもやり直す。繰り返せば、いずれは本物の女子プロレスラーへと成長し本人の気持ち次第ではスター選手にだって成り得る。

吉田は業界の人気復興を誰よりも願い、自分に出来ることを模索し続ける。若手の育成は地味で遠回りのようだが、その成果は着実に表れ始めた。

2006年1月29日、息吹は第5回目の開催を迎える。

<関連リンク>
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