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ドームプロレス、新たなる夜明け(2ページ目)

いまだ人気回復の兆しがみえないプロレス界。深刻なプロレス不況下において復興のきっかけとなるのは、やっぱり新日本プロレスか、全日本プロレスしかないのだろう。その起点は東京ドームになりそうだ。

執筆者:川頭 広卓

課題は山ほどあれ、価値ある次第点

賛否もあった三銃士揃い踏み。故・橋本さんとのケジメをつけ、武藤&蝶野は自身のプロレス人生最終章へと突入する
では、実際に今年の“1.4東京ドーム”はどうだったのか?

この日は28000人の観客を動員。数字だけみれば、入場者数46000人といわれた昨年の同大会より15000人減ってはいるも招待券の配布や多少の水増しもあった昨年、それ以前に比べ、純粋なファンを動員することに成功したのか会場には熱気があった。試合も武藤敬司&蝶野正洋vs小島聡&天山広吉、IWGPヘビー級選手権試合・棚橋弘至vs太陽ケア、三冠統一ヘビー級選手権試合・鈴木みのるvs永田裕志と好試合が続出。トップ選手がその力量を如何なく発揮することで、次第点は十分にクリア。次第点といわれれば聞こえは悪いが、過去何年にも渡るドーム大会での体たらくをもってすれば、十分評価に値するものといえるだろう。

特筆すべきは、鈴木vs永田の一戦。両者の憎悪が調和し、観る側にかつてない期待感をもたらすプロレス特有の煽りを生み出し、ゴングが鳴れば、激しく張り合う。中盤には永田の非情な攻撃が鈴木を襲い、フィニッシュに至っては、スリーパーで失神寸前の永田が最後まで鈴木の腕を捕らえようとしながら、徐々に落ちていくという壮絶な決着。美しいといえば語弊もあるが、近年稀にみる分かりやすさと見事な結末には拍手を送るしかなかった。

大会のトリを務めた武藤&蝶野もまた、ボロボロの身体を酷使し、円熟期を迎えた小島&天山の猛攻を耐え抜いての勝利。試合後には故・橋本真也さんのトレードマーク白鉢巻を巻き、爆勝宣言のテーマ曲にのってリングを後にした。

幾度となく橋本さんの追悼興行が行われている中で、「今さら」と感じたファンは多かったのだろう、実際解説を務めていた高山善廣も呆れ顔で席を立ったと聞く。それでもデビューから苦楽を共にしてきた武藤&蝶野が初めて2人で橋本さんを送り出したことや、35周年という記念興行をもって橋本さんへの区切りとするなら、十分許容の範囲。三銃士最後の揃い踏みは、それぞれのプロレス人生が完結へと向かう最終章の幕開けとなった。

2007年、プロレス界のキーワードは「絆」

武藤&蝶野vs小島&天山の一戦は、試合後のコメントも印象に残る言葉が多かった。天山は小島を「同志でもありライバルでもあり、最高の友です」と語り、小島は天山を「天山がいなければここまで頑張ってこれなかった」と感謝の意を述べた。

その一方で、試合後の武藤は「俺の中では(橋本は)思い出であり回想。明日からは自分達の持ち場に帰る。俺と蝶野も切磋琢磨していく」と語り、橋本さんとのケジメや、明日からの決意を述べる。蝶野が「(試合は)キツイね」と弱音を吐こうものなら「頑張ろうぜ」と発破をかけ、最後には笑顔で握手を交わした。

実際、小島が「プロレスに年齢は関係ない」と話したように、現代のプロレス界において、これまで対立概念として不可欠であった世代闘争という建前は、もう必要ないように思える。小島&天山にしても15年選手。業界を代表する選手として確固たる地位を築いており、今さら武藤&蝶野と世代を懸けて闘うというのもおかしな話。ファンを魅了するのに世代も団体も関係なく、武藤が「来たお客さんを喜ばせる。近道はなく、その道しかない」と語ったことが全てといえる。

新日本は2月18日に両国大会が、全日本でも2月17日に同所で興行を行う。ドームの成否は、それぞれの持ち場へ戻った最初のビッグマッチに、この日と変わらぬ集客と満足感を与えるかどうかで決まる。難しい対立概念や建前はもう必要ない。



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終わりなき新日本プロレスの苦悩と迷走 - 2005年12月27日

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