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カル・リプケンJrに見たファンを思う気持ち(2ページ目)

さも当然という表情で、黙々とサインをし続けるカル・リプケンJr.。この行為の根底には、ファンあっての自分という徹底した考えがある。翻って日本はどうだろうか? ファンを思う気持ちはあるだろうか?

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

「ファンがいるからこそ、今の自分がいる」

メジャーの各球団は毎年、マイナーリーグに入ってくる多くのルーキーに対し、いろいろな”教育”を行う。英語圏以外(スペイン語圏とか)の選手に対して英会話教室を開いたり、セキュリティ対策を講じたり、食事等などのマナーを教えたりと様々な取り組みをしているが、ニューヨーク・メッツはニューヨークにある会社を使い、マスコミ受けを良くするにはどうしたらいいかなども教えている。

これによると、インタビューを受ける際の秘訣は2つ。1つは「必ずインタビュアーの目を見て話すこと」、もう1つは「決してノーコメントとは言わない」だ。2つとも当たり前のことだが、目を見ることによって何事にも誠実に対応する姿勢を示し、何か気の利いたことを言うことで次のインタビューやテレビ、ラジオ出演につなげる可能性を探るのだ。こう書けばいたってビジネス的だが、その先に(テレビやラジオや紙面越しに)はファンがいることを十分に意識してのことである。

マイナーでこういう教育を受けた選手が、メジャーへ昇格し、スーパースターへの階段を上がれば上がるほど、驕りたかぶることが少なくなる。たとえば、ロッカールームで囲み取材を受けても、最後の1人まできちんと質問を受ける。女性だろうが、野球のことをあまり知らない人の質問だろうが、親切丁寧に答える。これもその先にファンがいるからに他ならない。つまり、「ファンがいるからこそ、今の自分がいるのだ」といつも実感している

>>思いやりこそ、野球離れを食い止める>>
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