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カル・リプケンJrに見たファンを思う気持ち

さも当然という表情で、黙々とサインをし続けるカル・リプケンJr.。この行為の根底には、ファンあっての自分という徹底した考えがある。翻って日本はどうだろうか? ファンを思う気持ちはあるだろうか?

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

暗がりの中、サインを続ける”鉄人”カル・リプケンJr

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2632試合連続出場のメジャー記録を持つ”鉄人”カル・リプケンJr.。ファンを大切にする気持ちは人一倍強かった
いまだに鮮明に覚えているシーンがある。2632試合連続出場のメジャー記録を持つボルチモア・オリオールズの”鉄人”カル・リプケンJr.が、現役にピリオドを打つことを決めた最後の春季キャンプ(2001年)だった。ファンはリプケンが今季限りでユニホームを脱ぐことを知っていたので、最後の勇姿を目に焼き付けようとフロリダでのオープン戦はどの球場も超満員。ドジャースのキャンプ地ベロビーチも例外ではなく、異様な盛り上がりをみせていた。

試合後、リプケンのサインをもらおうとファンがスタンドで長蛇の列を作った。おもむろにサインをしだしたリプケン。夕方ながらまだかなり明るかった。サインを始めて30分後ぐらいに、チームのバスはベロビーチから2時間半はかかるオリオールズのキャンプ地フォートローダーデールへ帰って行った。それでもリプケンはサインを止めようとはしない。最後の1人が終えた時はもう辺りは真っ暗。鉄人は疲れた顔ひとつ見せず、裏方さんが運転するレンタカーに乗り込み、球場を後にした。

凄いと思った。さも当然という表情で、リプケンは黙々とサインをし続けた。しかもフランチャイズではなくアウェーの球場で、言いたくはないがファンの中にはサインを売りさばく”業者”も混じっているのに、笑顔を絶やすこともなく、リプケンはやり遂げた。これがスーパースターだと心底思った。

>>ファンがいるからこそ、今の自分がいる実感>>
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