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ヒルマン監督が日本人から学んだ野球

ヤンキース監督候補だったヒルマンだが、日本ハム監督に就任して3年間は低迷。しかし、ある日本人の特質をつかんでから2年連続リーグ制覇を果たし、念願だったメジャーの監督の座を手に入れた。その特質とは?

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

遠回り後、アメリカンドリームをつかんだトレイ・ヒルマン

さよならヒルマンありがとう田中幸雄―ファイターズ熱闘!日本シリーズ
『さよならヒルマンありがとう田中幸雄―ファイターズ熱闘!日本シリーズ』¥900(税込) 07年の日本シリーズでは敗れたものの、劇的進化を遂げた日本ハム。その裏にあるものとは……
アメリカン・ドリームには、いろいろな形がある。大統領になるのは最たるものかもしれないが、子どもたちの憧れの的であるメジャーリーガーになることもそのひとつに間違いない。海外から、特に中南米の貧しい国から来たプレーヤーがメジャーリーガーとなり、成功するのは、アメリカン・ドリームの象徴である。

ルーキーリーグという底辺から1A、2A、3Aと積み重ね、ピラミット型の頂点であるメジャーリーグは、ほんのひと握りの選手で構成され、成功者はさらに淘汰される。それだけに「ドリーム」と呼ばれる価値があるのだが、監督とて同じだ。チームにたったひとつしかないポストで、メジャーは30球団だから30人。選ばれるのには、実力はもちろん、その時の運や環境に大きく左右される。

トレイ・ヒルマンは、もともとヤンキースのマイナー組織で指導者として腕を磨き、02年のオフにはヤンキースの次期監督候補として名前が挙がるほどになっていた。ところが、上にはジョー・トーリが栄華を極めていて、しばらくはチャンスに恵まれそうにない。そこに遠いアジアの日本から声がかかった。日本ハム・ファイターズである。

03年の就任から5位、3位、5位と低迷したが、06年にパ・リーグを制して日本一に輝いた。07年は中日に敗れたものの、チームを2年連続で日本シリーズへ導いた。この手腕と実績を買われて、今季からカンザスシティー・ロイヤルズの監督に就任。少し遠回りはしたが、アメリカン・ドリームを叶えたことになる。

実は、ヒルマン監督、日本人のある特有な性格をつかんだことによって、日本で成功をものし、自らの夢も手繰り寄せた。「ある特有の性格」とはいったいどんな性格なのか。期せずして星野ジャパンがそれを示し、教えてくれた。

>>星野ジャパンが見せた日本人特有の心的傾向>>
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