元近鉄・マットソンの場合
来日した本格的なナックルボーラーと言えば、元近鉄に在籍したロバート・マットソンを思い出す。98年と99年に在籍したマットソンは、98年の開幕こそ一軍スタートではなかったが、シーズン半ばに一軍初登板を果たすと、その年9勝を挙げ、チームの勝ち頭となる活躍を見せた。
マットソンの場合は、ウェイクフィールドに比べるとややストレート・カーブの割合こそ高かったものの、組み立ての中心はやはりナックルボールで、「ほぼフルタイム・ナックルボーラー」と言っていいだろう。ナックルボール慣れしていなかった相手打線は、マットソンのナックルボールを振り回し、凡打の山を築いた。
しかし、二年目には研究されてしまう。バッターボックスの後ろに立ち、待球するという攻略法だ。打ち気にはやるバッターを早めに追い込むと効果が増すナックルボールだが、球をじっと見られると弱い面がある。
結局マットソンの場合は、待球戦法により甘いナックルや、苦し紛れのストレートやカーブを狙い打たれ、99年シーズンは5勝4敗に終わり、その年解雇された。
ウェイクフィールドの場合
2004年、ボストン・レッドソックスがワールドシリーズを制覇した年のポストシーズン、ティム・ウェイクフィールドはシーズン中とは違い、リリーフの役割を与えられていた。
ウェイクフィールドがリリーフ登板した、ある試合のことをよく覚えている。通常のシーズンゲームであれば、マスクはウェイクフィールド専用のキャッチャー、ミラベリが被っている。しかしその試合は1点を争う緊迫した延長戦で、打力も期待できる正捕手のバリテックを交代させることなく、ウェイクフィールドとバッテリーを組ませたのだ。
しかしやはり、ナックルボールを捕球し慣れていないキャッチャーの弱点が出てしまう。先頭バッターを振り逃げで出塁させ、さらに2つのパスボールを重ね、ノーヒットでランナー三塁のピンチを背負うことになってしまった。
このように、ナックルボーラーが登板する際には、登板状況とキャッチャーの能力も重要なってくるのだ。次に、ナックルボーラーの弱点を整理しよう。
【ナックルボーラーの弱点】→