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【MLB】カージナルス田口壮、最高の瞬間(5ページ目)

田口壮、37歳。メジャーのトップ選手に名を連ねるイチローや松井秀喜とは違って、地味な存在だ。その田口がワールドシリーズの舞台で先発に名を連ね、チャンピオンという最高の瞬間を迎えるまでを振り返る。

執筆者:コモエスタ 坂本

ワールドチャンピオン、そしてこれから


2006年シーズン。2005年よりもチームを強化したカージナルスにおいて、田口の出番は再び減った。しかし田口は「準レギュラー」であるか「スーパーサブ」であるか「サブ」であるかはともかくとして、チームにとって欠かせない存在になっていた。

そして冒頭に述べた通り、田口は最高のポストシーズンを過ごし、栄冠を手にした。田口は日記でこう綴る。


ワールドチャンピオンになっても、頂点を極めた気持ちには到底なれません。きっと来年もこの感覚を求めて野球をやるんだと思います。目標が次から次へとある限り、野球が少しづつうまくなれると信じて。それでファンに喜んでもらえるのなら、プロとしてそんなに幸せなことはありません。


37歳の田口にとっては、残る野球人生はそう長くはないだろう。ましてメジャーでその地位を確保し続けるのは難しい。日本でも規定打席3割にも達したことがなく、ホームランも97年の10本が最高だった男が、メジャーリーグに適応してようやく得られることになったぎりぎりのポジション、それを維持していくのは並み大抵のことではないだろう。しかし、田口の姿勢には共感を覚えるし、何より「なにくそ」と奮闘する姿が見たいのだ。

2002年の入団時の田口は、カージナルスとの3年契約だったが、2005年・2006年シーズンは単年契約になっている。ここに来てカージナルスは、来季も田口と1年契約を結ぶ方向性を示唆しており、おそらくそれは締結されるだろう。

来シーズンも田口がカージナルスでプレーすることを期待して、本稿を終えようと思う。目標を見いだせる、そしてまだ野球をうまくなろうとしている田口は幸福だ。
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