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【MLB】カージナルス田口壮、最高の瞬間(4ページ目)

田口壮、37歳。メジャーのトップ選手に名を連ねるイチローや松井秀喜とは違って、地味な存在だ。その田口がワールドシリーズの舞台で先発に名を連ね、チャンピオンという最高の瞬間を迎えるまでを振り返る。

執筆者:コモエスタ 坂本

日記職人、もしくは「文豪」


『何苦楚日記』。田口が「なにくそ」ともがいていた様を如実に表現している(現在は発売されていません)
今、田口壮のファンを標榜する人は、田口がアメリカに渡って以降綴られる彼の日記を読んで、という人も多いだろう。

田口は自らのサイトで、シーズン中は毎日日記「mail From So」を公開している。2002年から2003年までの最初の2シーズンの日記は「何苦楚日記」という本にもなり、田口が「なにくそ」ともがいていた様を如実に表現している。

その後も田口は日記を続けている。メジャーリーグの中にいなければわからない細かい話も、田口はプレーヤーとしての目線で伝え続けた。例えば、カージナルスのチームで食事などをする際、選手はだいたい3つのグループに分かれる。肌の色で言えば、白と黒と茶。要するに、アメリカ白人とアメリカ黒人、そしてドミニカやプエルトリコなどのラテン系の3グループということだ。

では黄色い人である、当の田口はどうなるかと言えば、ラテン系選手に「ソウ、こっちこっち」と呼ばれるのである。田口がギョロ目のメキシカン的風貌を持つゆえか、またはメジャーリーガー第三勢力としての非アメリカ人に組み入れられるせいかどうかはわからないが、明るいラテンの連中は田口をその輪に招き入れる。彼らは最初は英語で話しているのだが、次第にスペイン語になり…会話に取り残されつつも、田口はその中でなんとなく馴染んでいる。

そんなおもしろおかしく、ちょっと切ない光景をも、「文豪」田口は自らの手で毎日綴ってきたのだ。その視点は一人のメジャーリーガーという以前に、アメリカで働く一人の男のそれであり、この間誕生する子供のことなどを含めた日々の生活や、仕事上での悲喜こもごもを伝える田口に、読者は感情移入させられてしまうのである。

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