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【台湾野球】八百長はなぜ起こるのか(1)(4ページ目)

ドイツやイタリアなどの海外サッカーや、日本のボクシング界などにおいて、八百長事件や八百長疑惑が頻発している。かつて台湾プロ野球を揺るがせた事件を通して、八百長の根幹を探る。

執筆者:コモエスタ 坂本

選手監禁事件


台湾プロ野球には6球団制が根付き、ますます盛り上がりを増していった。人気の中心となったのは、94年まで三連覇を果たし、台北を本拠とする兄弟エレファンツと、95年、96年と二連覇の統一ライオンズだった。

観客も熱気を増していった。興奮したスタンド、花火や爆竹が鳴って試合中断、グラウンドに投げ込まれる椅子やごみ箱や卵、グラウンドに投げ込まれたものを観客席に思いっきり投げ返す選手、などという光景がたびたび起こったのもこの頃である。

そして1996年、それは起こった。兄弟エレファンツの呉復連(現誠泰コブラス監督)がホテルの部屋に監禁され、ヤクザにピストルの銃口を口の中に入れられるという事件が起こったのである。これは大きく報じられ、暗黙の了解となっていた野球賭博とヤクザの関係が初めて明るみに出るのである。

と同時に、選手の側もこの野球賭博に関して、八百長で絡んでいるという話が流れ出した。呉復連は無事で、事件後普通に復帰し、ペナントレースも96年シーズンはちゃんと敢行されたが、各新聞や雑誌などで、八百長問題の噂が絶えることはなかったのだ。

時代背景


八百長はさておき、96年当時の台湾プロ野球において、賭博がヒートアップしていったのは容易に想像がつく。野球自体の盛り上がりもさることながら、闇資金が還流されやすい時代背景にあったからだ。

というのは、香港の中国返還が翌年1997年に迫っていたからである。香港と言えば、マネーロンダリングと黒社会の名産地。また、華人ネットワークにおいては、距離的にもほど近い台湾と密接な関係のあった。中国になることに不安を感じた香港人は、海外に資産逃避させたりした。台湾は折しも選挙などのイベントを控えたこともあって、黒いマネーが闇で蠢いていた。野球賭博に回ったマネーも、おそらくその一角だったのだろう。

【台湾野球】八百長はなぜ起こるのか(2) に続く→
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