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その投球の行く先は 女子野球の将来

先日、東京大学・竹本恵投手が公式戦で初奪三振を記録しました。メディアにもめずらしさから取り上げられましたが、一歩踏み込んで女子野球について考えます。

執筆者:梶原 龍太


このサイトに来られる女性の方の中にも「女子野球」でプレーされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?女子野球チームも徐々にですが各地で結成され、女性の本格的な野球進出はもはやめずらしいことではありません。そんな中、男性の中に入り、遂に結果を出し始めた女性選手がいます。東京大学・竹本恵投手がその人です。

竹本投手は中学~高校とソフトボールの選手経験があり、東京大学入学後に硬式野球部に入部し、現在3回生。左投げのアンダーハンドピッチャーです。そして東京六大学リーグにおいて公式戦にも顔を出すようになり、先日の対立教大学戦で今季3度目の登板でしたが1回1/3をMAX95km/hの投球で無失点に抑え、見事、女性選手で初となる奪三振を記録しました。

立教大学側は主力選手の調子が狂うことを考え4人の打者が代打として送られたのですが、それにしても0点に抑えるということは女性選手にとっては容易ではないはず。初の奪三振といい、記録に残る結果を残しました。

このニュースはスポーツ紙にも取り上げられ、みなさんの中でも記憶にある方も多いと思います。が、単に目新しいニュースという捉え方以上に、もっと意味のある結果として考えていただきたいです。それは女子野球の今後についてです。

現在でも様々なスポーツで女子選手は活躍を続けています。陸上や女子サッカー、水泳・・・数えあげればキリがありません。が、こと野球に関しては「女子」というだけでプレーする場がかなり少ないのが現状です。学生でも女子野球チームは数少なく、今回の竹本選手のように硬式野球ともなれば、男性に混じってプレーするしかありません。果たして現状がベストであると言えるのでしょうか?

女性と男性の体力の違いや、そこから生ずるレベルの差。性別を考慮すれば同じ環境で練習することがレベルアップに繋がるといえるほどの女子選手の状況ではありません。事実、竹本選手も先の試合ではストレートの最速95km/hですから、男子中学生レベルと言えるところでしょう。

ですから、単に結果だけをおもしろおかしく論じるのではなく、男性を相手に抑えたという結果から一歩踏み出した考え方、野球というスポーツを女性にもプレーできる環境にしていくことが大切であって、現在の野球界は女性も野球をプレーしたがっているという事実に対して何らかのアクションを起こすことを目指す時が来た
と私は考えます。

そういった意味で竹本選手の頑張りは日本の女子野球選手にとっても励みになり、今は話題性しか取り上げないメディアも、いずれは女子野球についても建設的な意見を提案するでしょうし、そうなっていけば各種連盟や団体の方もより女子野球に対して積極的なアプローチを起こしてくれるでしょう。

竹本選手のストレートは、はっきり言って遅いです。がしかし、その遅いストレートでもいつかは女子選手の目指すべきところに届くと思います。彼女の投げるそのボールの行く先は女子野球の繁栄に繋がっているのかもしれません。
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