2006夏の甲子園は、3年連続優勝を狙う駒大苫小牧を早稲田実が決勝戦引き分け再試合の末に下し幕を閉じた。打高投低の影響もあって劇的な試合が相次いだが、そんな2006甲子園の名勝負十試合を振り返ってみる。
1回戦
8/8(火) 1回戦第1試合
×関西(岡山)10 - 11文星芸大付(栃木) ○
関西が4-0、同点に追いつかれてからは9-4、8回裏に9-7と追いつかれてから9回表に1点を加えて10-7と突き放すものの、9回裏に6回途中から登板のダースが崩れ、文星芸大付が劇的なサヨナラ勝ち。この後文星芸大付は、2回戦で今治西(愛媛)に3-12と完敗。
この日はこの試合を含め、サヨナラ2試合、延長2試合と息詰まる熱戦が続く。第3試合では松代(長野)が倉吉北(鳥取)を11回サヨナラ、7-6で下す。第4試合では八重山商工(沖縄)が千葉経大付(千葉)を延長10回、9-6の勝利。
2回戦
8/12(土) 第2試合
×日本文理(新潟)1 - 2香川西(香川) ○
打高投低の本大会では決勝戦第1試合に続くロースコアゲーム。投手戦というよりは、日本文理は拙攻・香川西は貧打という印象なのだが、総合力的には日本文理の方がかなり上に見えた。
しかし香川西の球速MAX130キロに満たないエース豊岡の制球が良く、キャプテンでキャッチャーのウラムも豊岡を好リードし、日本文理のチャンスを断ち切る。試合は6回表、香川西が監督に言わせれば「神がかり的な」タイムリーで2点を先制。その後8回裏、日本文理は無死満塁と攻め立てる。この流れを1点で断ち切った香川西が結局2-1で逃げ切り勝ち。個々の実力差があっても、チームワークで跳ね返せることを示した興味深いゲームだった。その後、香川西は3回戦でベスト4の鹿児島工に3-9と力負けして敗退。
8/13(日) 第1試合
×清峰(長崎) 6-7福井商(福井)○
春のセンバツ準優勝で昨夏から旋風を巻き起こしている、清峰高校。1回戦は光南(福島)に22-3と大勝、今大会も活躍を期待されていた。清峰は2回表に2点を先制するものの、4回裏福井商は連続タイムリーで4点を奪い、5-2と逆転。その後も福井商は加点し7-2で9回を迎える。
ここで清峰はタイムリーと3ランで7-6と1点差に追いすがる。しかし後続は断たれ、粘りもここまで。競り勝った福井商だが、3回戦でエース斎藤を擁する早稲田実に1-7と完敗。
8/13(日) 第4試合
×松代(長野)3-5 八重山商工(沖縄) ○
八重山商工の「全員野球」が光った。エース大嶺と金城長の二本柱を温存し、左腕の当山が先発。打線も6番~9番を機会に応じた入れ替えをこまめに繰り返す。試合は3回から金城長を投入し、松代の先制機を防ぐ。八重山商工は4回に2点を先制の後、5回にも3点を加え、松代の追撃を許さない。
最後にはエース大嶺を投入し、9回には松代の反撃を2点で切り抜けゲームセット。終わってみれば八重山商工は選手14人を起用し、ロッテのバレンタイン流を彷彿とさせるベンチ全員野球で勝利をものにした。二本柱と日替わり打線と大胆な戦略で印象深かった八重山商工だったが、3回戦で智弁和歌山と対戦し、甲子園を後にする。