花巻東の千葉翔太外野手の“カット打法”は是か非か!?

ボールをカットする技術はプロでも“高等”であることと、指摘した時期を考えれば、千葉を責めることはできないだろう

ボールをカットする技術はプロでも“高等”であることと、指摘した時期を考えれば、千葉を責めることはできないだろう

夏の全国高校野球は、前橋育英(群馬)の初出場初優勝で幕を閉じたが、話題をさらったのは花巻東(岩手)の身長156センチの千葉翔太外野手(3年)だった。

2つある。1つは、決勝進出を延岡学園(宮崎)とかけた準決勝で、自分のバッティングができず、4打数無安打に終わったことだ。

ベースに覆いかぶさるように構える左打者の千葉は、バントに近い構えからボールを頻繁にカットしてファウルで粘っていた。これが、「高校野球特別規則・17」の「バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある」という項目に抵触するとして、大会本部から花巻東に伝えられた。つまり、3バントと見なされる可能性を示唆され、千葉の“カット打法”は準決勝の大舞台で封印されたのである。

結局、4打数ノーヒットでの敗戦。「ファウルしてカットする自分の役割ができなかった。いつも通りの野球ができなかった」と千葉は涙が止まらなかった。確かにバントと見なされて仕方がないカットもあっただろうが、どれが認められるカットで、どれが違反のカットかの明確な基準がない以上、審判の判断に任せるしかない。準決勝を前にして、禁止と判断されれば従わなければいけなかったのである。

しかし、ここで問題なのは、それを千葉及び花巻東側に知らせる時期だ。延岡学園との準決勝までに、彦根東、済美、鳴門と戦ってきた花巻東。その間、千葉は“カット打法”で打率.700と大活躍し、とくに準々決勝の鳴門戦では相手投手が投じた163球のうち41球を1人で稼いだ。準決勝進出の立役者である千葉に対し、準決勝直前に「その打法は禁止ですよ」というのは今さらである。せめて甲子園での初戦が終わった時点か、もしくは岩手県での予選の段階で指摘すべきだった。または、大会終了後に「今後はしっかりと適用したい」とすればよかったのではと思う。

ボールをカットする技術はプロでも“高等”であることと、指摘した時期を考えれば、千葉を責めることはできないだろう。

塁上でのサインを出す疑いのある行為は断じて許されない

しかし、もう1つの話題は決してやってはいけないことだ。鳴門との準々決勝で、八回の花巻東の攻撃中、二塁走者の千葉が打者に向かってサインを出していると指摘され、球審に注意されたことだ。指摘したのは鳴門の日下大輝捕手(3年)で、二塁走者の千葉が塁上から手を一、三塁方向へ向けるなど不自然な動きをし、それに合わせて打者が打席で立つ位置を変えたりしたため、「走者がサインを出しています」と小山球審に訴えた。大会の試合規定では、捕手のサインを見てコースや球種を伝える行為を禁じ、疑いでも許されていない。これを受けて審判は試合を止め、千葉に注意し、ベンチには千葉に注意したことを伝え、試合は再開された。

花巻東の佐々木監督は試合後、「千葉がズボンをポンと触っていたのをサインを出しているのではないかと相手捕手にアピールされたんです。わざわざズボンを触って、手でサインを出すなんてことはないです」と否定したが、とにかく、疑わしい行為ですらやってはいけないのだ。

もし、このような行為をメジャーリーグでしたら大変なことになる。二塁走者は次の打席でぶつけられることがある(死球)。その走者が交代していたら、代わりの選手がぶつけられる可能性がある。それほどやってはいけない行為で、ベンチでは二塁走者の動きを必要以上に見ていると言っていい。

千葉個人でやったのか、チームの指示なのかはわからないが、メジャーでもタブーである行為は、正々堂々とスポーツマンシップを謳う高校野球ではなおのことやってはいけないのは間違いない。


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