記録の意義と名誉
長くプロ野球に貢献した一流選手や関係者の名誉を讃えるシステムは、名球会の他に「野球殿堂」というものがある。「野球殿堂入り」は関係者の投票によって選ばれる、”野球社会内の政治”であるが、これにも取り立てて異議を唱える人はいないだろう。
それに対してもう一つの名誉システムである名球会は、任意団体とは言え、記録=数字を入会条件とするがゆえに、ある種の明快さを伴うべきだろう。しかしながら、2003年12月の基準改正(改悪?)により、さまざまな不明朗さを産んでしまったのだ。
不明朗さには2つのパターンがある。例を挙げてみよう。例えば松岡弘(元ヤクルト)の生涯成績は、191勝41Sである。また、ロッテで活躍したこともある、フリオ・フランコは、日本で286安打・メジャーでは2521安打の合計2807安打である。新基準の合算方式を援用すれば、彼らもまた「名球会員」としてしかるべき数字を残したと言えよう。しかし、彼らが新たな名球会員に名を連ねただろうか? 否である。
二つの不公正
新基準によっても、有資格者とみなされない不具合は、おおむね以下の二種類である。
(1)1セーブを0.8勝換算し、勝利数と合算した場合に200勝を越えている選手
(2)メジャーリーグで実績を残して来日した、いわゆる外国人助っ人
足せば200勝越え? の選手
選手名 | 所属 | 勝 | S | 換算合計 |
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松岡弘 | ヤクルト | 191 | 41 | 223 |
佐藤義則 | オリックス | 165 | 48 | 203 |
槙原寛己 | 巨人 | 159 | 56 | 203 |
大野豊 | 広島 | 148 | 138 | 258 |
佐々岡真司* | 広島 | 132 | 106 | 216 |
斉藤明夫 | 横浜 | 128 | 133 | 234 |
鈴木孝政 | 中日 | 124 | 96 | 200 |
山本和行 | 阪神 | 116 | 130 | 220 |
日米合算で「基準以上」の助っ人
選手名 | 所属 | 日本 | メジャー | 合計安打数 |
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フリオ・フランコ* | ロッテ | 286 | 2521 | 2807 |
ウィリー・デービス | 中日ほか | 237 | 2561 | 2798 |
トニー・フェルナンデス | 西武 | 121 | 2276 | 2397 |
レジー・スミス | 巨人 | 134 | 2020 | 2154 |
ロイ・ホワイト | 巨人 | 348 | 1803 | 2151 |
ビル・マドロック | ロッテ | 115 | 2008 | 2123 |
ウォーレン・クロマティ | 巨人 | 951 | 1104 | 2055 |
マティ・アルー | 太平洋 | 258 | 1777 | 2035 |
ラリー・パリッシュ | ヤクルトほか | 227 | 1789 | 2016 |
選手名 | 所属 | 日本 | メジャー | 合計セーブ数 |
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リッチ・ゴセージ | ダイエー | 8 | 310 | 318 |
*は現役選手。記録は2006年5月15日現在。
【金田会長の独裁体制】→