楽天の新監督に就任した野村克也氏の著書、「野村ノート」が反響を呼んでいる。本書で語られる、「ID野球」を確立した氏の野球理論と人間学を考察する。「野村ノート」を読まずして、「野村監督」は語れないだろう。
「野村ノート」とは?
野村氏はヤクルト・阪神の監督を務めていたころ、選手指導のために「野村の考へ」というテキストを使用していた。野村ID野球の叡智が詰まったこのテキストは、多くの選手らにコピーされ語り継がれている。かつての選手時代に野村氏の教えを受けた若い指導者層も、このテキストを後進の指導に用いているほどだ。
そしてこの「野村ノート」は、「野村の考へ」の進化形だ。誰もが知りたかった「野村の考へ」を、普通の書店で購入することができる。その意義だけでもベストセラーになっているのだろう。
「野村ノート」を読まずに野村監督を語ることなかれ
「野村ノート」を読まずに野村監督を語ることなかれ、というのが本書を読み終えた私の素直な感想である。ご承知のように、野村氏には毀誉褒貶が多い面がある。特に野村氏や野村ID野球に対する一般的な批判は、半分当たっていて半分間違っているというのが適切なのだろうな、というのが氏自身の著を読むことで理解できる。
野村氏に対する多くの批判の声は、大別すると以下だろう。
1 「ID野球」はもう古い
2 面白みに欠ける野球
3 野村氏の性格
これらに関して、本書を参考にしつつ、考慮してみよう。